特定秘密保護法案と情報公開
NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんを講師に迎え学習会を開催しました。学習会では、臨時国会において、政府・与党が成立をめざしている特定秘密保護法案などについてお話いただきました。
特定秘密保護法案について、先頃実施されたパブリックコメントに9万480件の意見が寄せられ、国民の知る権利や報道の自由が侵害される、特定秘密の範囲が不明確などの理由で77%が反対意見で占められていることが報告されています。
秘密保護に関する法律としては、刑事特別法(1947年)MDA法(1949年)が制定されており、2001年には自衛隊法が改正され防衛秘密の保護と漏えい等に対する罰則も設けられています。三木さんも、特定秘密保護法がなくても、すでに特別管理秘密、省秘、非公開と何層にもカテゴリー化されたたくさんの秘密があり、そのルールの一部が公開されているに過ぎずないと指摘されました。
三木さんが行った情報公開により「防衛秘密」の指定や解除の状況も明らかにされています。2007〜2011年の間に、約55,000件の防衛秘密の指定が行われ、そのうち解除された防衛秘密はわずかに1件、約34,300件の防衛秘密が廃棄されていたとのことです。この結果から、防衛省内部の判断で防衛秘密が廃棄され重要な文章を歴史的に残す仕組みがない状況が読み取れます。防衛省としても、これまで文章のライフサイクルの実態が把握されていなかったことや防衛秘密が公文書管理法(2011年施行)の適用外となっていたことに「気付く」機会となったようです。
秘密保全法制の検討を行った有識者や検討チーム、作業グループなどの資料についても三木さんの情報公開請求により、HPに掲載された簡単な議事録以外の記録が作成されていないことが明らかにされています。秘密保全法制のあり方に関する検討チーム作業グループがまとめた報告書として公開されている「表紙」、および「はじめに」「最後に」以外の部分を情報公開請求したところ非公開とされたという事例も報告されました。
これらのことからも、知る権利への制約を定める動きに対して、同時に情報公開を進める法整備に取組む必要性を確認しました。
学習会では、青木仁子藤沢市議から武田薬品研究所に関わる情報公開請求の取組みと課題、保坂玲子鎌倉市議からも携帯基地局に関する情報や横須賀の核燃料工場からの核燃料輸送情報に関わる公開請求の顛末などの事例報告がありました。
今後も、日々、政策決定プロセスに目を向け、情報を民主的に管理するルールを運動の中から作り出していきたいと思います。