コミュニティケアの実践を学ぶ
東京都小平市にある『ケアタウン小平』をお訪ねし、暁記念交流基金の長谷方人さんのお話を伺う機会を得ました。
ケアタウン小平は、ホスピスコーディネーターの経験をお持ちの長谷さんが、緩和ケア専門医で『病院で死ぬということ』の著者でもある山崎章郎さんとともに構想されたものです。コミュニティケアという、従来のホスピスケアの在り方を乗り越える新しいケアをめざし数々の実践が重ねられていました。
ケアタウンでは、「いっぷく荘」を中心として、2つのNPOと連携し医療、看護、介護、そして食事サービス、子育て支援など、インフォーマルな支援も含めて展開されています。「いっぷく荘」は、入居期間や年齢の制限もなく、疾患や障害の種類も問わない共同住宅です。
ケアタウンには80人のボランティアも関わられており、地域に開かれた空間です。
長谷さんは、コミュニティの空地・広場と表現されていましたが、そこに立つと、豊かな木々に囲まれた実に居心地の良い場所であることを実感します。
国でも自治体でも、医療と介護の連携による地域包括医療・介護体制の整備の必要性が言われていますが、地域包括ケアの理念をどのように具体化するのか、その道筋を描く事は容易ではありません。
ケアタウン小平の実践は、生活の場をベースに医療や介護など制度に則った事業で継続性を確保しつつ、インフォーマルサービスを地域住民の参加も得て提供する地域包括ケアのモデルであると思います。地域包括ケア、コミュニティケアの推進にあたって、公と民それぞれが担う領域など、検討されるべき課題についても多くの示唆をいただきました。今後の提案に繋げていきたいと思います。