デンマーク・ロラン島のエネルギー政策に学ぶ

デンマーク・ロラン市議の レオ・クリステンセンさんとロラン島在住の環境ライターのニールセン北村朋子さんを迎えエネルギー政策や、暮らしや働き方の変化を捉えたまちづくりにについてお話しを伺いました。

デンマークの南方に位置するロラン島、 人口は約68000人、面積1,234平方メートルの平坦な島です。かつては造船業で潤っていたものの次第に衰退、財政危機に瀕するなかで環境エネルギー産業への転換が図られてきました。
島には陸上・洋上合わせて約500基の風車が建設されており、ほぼ100%の電力が自然エネルギーによって供給されています。2012年には約2500ギガワットの電力が他国に輸出されています。
レオさんからは、まず、産官学で取組むCTF(コミュニティ・テスティング・ファシリティーズ)や、藻イノベーションセンターの取組みについて伺いました。エネルギーに関する知的財産(価値評価)は労働価値を含めて350億円と試算されるのことです。CTFを進めるにあたっては、環境調査レポートを専門家だけではなく誰でもアクセスできるようにオープン化し、事務手続きもできるだけ簡素化するといった工夫により、幅広い連携とスピーデディな実用化につなげています。
余った電力で水を電気分解、水素をつくり活用を図る「水素コミュニティ」の実現に向けては、1万軒の家庭で水素を活用するプロジェクトも進捗中、また、インド、メキシコなど電力の安定供給が難しく交通インフラ整備に課題がある地域において、水素バスの導入を進めていることも報告されました。

こういったエネルギー 政策が推進された背景には、2035年までにすべての電力を再生可能エネルギーで賄うことを規定した新エネルギー法があります。(2012年3月に制定)現在デンマークには6つの政党があるそうですが、長期的なコンセンサスが得られている政治情勢もあるようです。その秘訣は、「党派を超えたエネルギー問題の解決に向けた共通認識づくり」というファーストステップを丁寧に進められたということのようです。

レオさんからは、政権が安定せずリーダーの交代が続けば、思い切った施策を打てないし大きな流れつくっていけないと、日本の政治情勢に対して苦言をいただきました。そして、馬鹿な考えかなと思う事も口に出してみる!多くは失敗かもしれないがその一言でもの凄いものができることもある、それがイノベートだとエールもいただきました。 

ロラン市議は報酬のないボランティア議員で、レオさんも別に仕事をもたれ、また、環境大臣のアドバイザーもなさっているそう。また機会があれば地方自治制度についても伺ってみたいです。