これまで、保育と子育て支援、つまり、働きながら子育てする家庭と在宅で子育てする方へのサービスは、制度的の上で、切り分けられてきました。しかし、働き方も家族形態も多様になり、現場がとらえたニーズも多様。多くの子育て世代が悩み、サポートを求めています。「待機児ゼロ」作戦では、これらの解決策になりません。
保育園に「子どもを預けたくて」働く女性もいます。そして、週3日以内で働く人は一時保育、4日以上働く人は通常の認可保育園、働き方で、保育園への入園枠も大きく変わってきます。もちろん、認可、横浜保育室、認可外と入れた保育園で、「税の恩恵」格差が生じます。
4月から横浜市の一時預かりパイロット事業を受託したNPO法人W.Coパレットの山田範子さんは、実践を通じ、一時預かりの理想の形として「預かってもらえるところが身近な場所にあり、利用者が自由に施設を選んで同程度の利用料金で預けることのできるシステム」を今後も提案していきたいと話されました。
ピッピ保育園の磯道園長も認可保育園の立場から、一時保育を窓口として家庭とつながっていく重要性や、地域の子育て支援の資源として早い時期からの支援を行なっていく役割が語られました。
横浜保育室と認可外保育室を運営し、一時保育を実践してきたNPO法人W.Coめーるここの小泉恵子さんからは、「子育ての外注化」現象に悩み迷いつつも当事者に触れなければ話もできない、だから、要件を一切問わない受入を続けているという報告がありました。
最後に、横浜保育室における一時保育から派遣型チャイルドケア、広場事業など多様な取り組みをすすめてきたNPO法人W.Coさくらんぼの伊藤保子さんからは、人間関係が希薄になる中、何よりも、地域の諸資源をコーディネートする機能をつくり出していくことが必要であるという提案がありました。
横浜市は、過去5年間で認可保育園を116か所増設、約9000人の定員増を進めましたが、この3年間、待機児は増加の傾向にあり、今年4月の段階で707人の待機児がいます。保育園の役割は多角的であってほしいし、子育て世代の真のニーズを捉えれば、フルタイマーのための保育園を作り続ける施策からの転換ができるはずです。
今、子育て支援拠点を各区に1館づつつくる計画が進められていますが、同時に、認可保育園を始め,今ある地域の保育資源の活用ももっと進めていくべきです。これから、子どもの数は減っていきます。一時保育を豊かにすることで、待機児もおそらく減少するはずです。保育園は、学齢期の子どもやお年寄りとの交流の場としても地域に開かれ、時に、専門的なサポートが必要な子どもと家庭への支援も行なう、そんな場所であってほしいです。ディスカッションの中で、アイディアが沸き出してくるような高揚感を覚えました。9月には、横浜市との円卓会議です。
パネラー:山田範子さん(NPO法人W.Coパレット 子どもミニデイサービスまーぶる運営)/磯道静香さん(NPO法人ピッピ親子サポートネット 横浜市認可ピッピ保育園運営)/小泉恵子さん(NPO法人W.Coめーるここ 横浜保育室めーぷる運営)/伊藤保子さん(NPO法人W.Coさくらんぼ 横浜保育室ネスト、ネストキッズ運営)