円卓会議では、市内13事業所のデータをもとに、介護度別の食事サービス利用率や訪問介護サービスの支援内容を検証し、サービス対象者とニーズのミスマッチについて問題提起しました。例えば、食事サービスの対象となっていない要支援〜要介護1のうち1割程度の方が独自に食事サービスを利用しています。ヘルパーによる食事作りも要支援2で2割、要介護1で4割の人が利用しています。軽度の介護度の人でも片麻痺であったり、火の使用を制限されているケースなどは食事サービスやヘルパーによる食事作りが必要になるし、逆に介護度の重い人は食事介助も必要で配食サービスは馴染まないケースも多々あります。市としては、要介護2以上という対象者以外でも福祉保険センター長が認めればサービスを利用できるとしていますが、センター長の判断で利用することができた人は昨年実績でわずかに5人。このあたりは、ニーズを捉え制度につなげるケースワーカーとのリレーションに課題がありそうです。ほかにも、高齢者が食事の配達曜日を変えたいと思ったときには、ケアマネを通しアセスメントをやり直すという手続きが必要になるなど煩雑な手続きも食事サービスが敬遠される理由の一つとして考えられます。
国が検討を進めている地域包括ケア構想では 在宅生活を維持するために地域の見守りや食事サービスがますます重要と言われています。一方で、介護保険制度の見直し議論においては、軽度の要介護者を介護保険の対象から外す、あるいは、家事支援など「生活援助」を介護保険サービスから外すべきとの意見も出されており、自助やボランタリーな活動にシフトして行く方向性も見て取れます。介護の社会を目指した介護保険制度のこれからも気になる所ですが、食事サービスを介護保険と切離して、ニーズに添える柔軟なサービスとして市の事業として行うことも考えるべきだと思います。まずは、行政としても食事サービスの実績が減少している要因や影響を把握することが必要です。