通報件数や相談件数の増加に対応し、専門性を持ち支援やコーディネートを行うソーシャルワーカーやケアワーカーの増員も必要です。
昨年、総務省が行った児童虐待防止等に関する政策評価の一環として行った自治体職員や児童福祉士など現場職員への意識調査では、「人員配置に余裕がなく、きめ細かなケアを行う時間がない」(児童福祉士の88%、市町村担当者の60%)との意見を捉えています。また、要保護児童対策地域協議会が十分機能していないことや、学校や保育所などがその役割を十分果たせてないとの指摘も見られます。
昨年、県内の児童相談所で受け付けた児童虐待相談受付件は、1853件で前年度比12.9%増でしたが、50万人に1カ所設置すべきとされている児童相談所は、900万人の人口を抱 える神奈川県内には5カ所、370万人の人口を抱える横浜市には4カ所しかありません。児童相談所に限らない多様な窓口が必要です。
2009年度の虐待死亡事例のうち0歳児が40.8%(20人)と最も多いという状況も踏まえ,国の専門委員会も妊娠期・出産後早期からの支援体制及び関係機関の連携体制の整備の必要性を提言しています。
横浜市は、独自に産前産後ケア事業を実施していますが、要件が厳しく利用ができないため、事業者が独自に提供するサービスを利用されている方もいます。そうなると、公的な助成がないため一定程度の利用料を負担できる方の利用に限られてしまいます。虐待の背景には貧困問題があることも指摘されています。市の産前・産後ケア事業については、所得に応じた減免だけでなく、利用要件の見直しをしなければ、そもそもサービスが使えません。課題の多い区から特区的に要件を見直すななど、柔軟な発想とスピード感を持った対応が求められます。
保健センターや保育や子育て支援の現場、学校とそれぞれの部所が窓口として機能し、連携し共通の認識を持ち支援に当たれる体制づくりにむけて、今後も、現場の気付きを制度につなげていきます。