まだまだ山中新市長と横浜市会に注目

菅首相の不出馬表明で情勢が一変した自民党総裁選。衆議院選挙を前に「選挙の顔を選ぶ」戦いは大混戦の模様です。
首相の『コロナ対策に専念する=総裁選不出馬』は、額面通りには受け取れないとしても、先立つ横浜市長選挙で、菅内閣のコロナ対策に極めて厳しい判断が下されたことは間違いありません。「第6波」の到来も懸念される中で、4人の候補者には実効性のある具体策を競ってもらいたいです。

さて、「コロナの専門家」として横浜市長選挙を戦った山中竹春新市長。
コロナの専門家というアピールは、「カジノ・IR誘致撤回」という公約よりもより強いメッセージであったと思われます。
もちろん、公約通り、山中市長によりIR誘致の撤回が宣言されてますし、市長の交代による政策転換は実感しています。

しかし、「選挙によって民意は示された。そもそも、私はIR誘致には反対だった。だからこれで良い。」というハッピーな感じでもない。

IR誘致を推進してきた立場の義員は、「市長が交代しても行政の継続性は担保されるべき」と言います。
予算案や住民投票条例案の議決経過をあげて、「手続きはルール通り進められてきたことはしっかりと残しておくべき」とも。
その言葉を聞きながら、二元代表制の議会で議決を重ねてきたその決定を、市長の交代を持って覆すことの重みをあらためて考えさせられました。(そうは言っても、市長選挙では、IR誘致推進派の市議の多くがIR誘致取りやめの市長候補を支援するという複雑な情勢であったので、このべき論は、それほど熱い義論にはなっていないないようなのですが。)

市長選挙の総点はカジノ・IR誘致の是非からコロナ対策へと変化していた。有権者は、さらに多くのファクターを勘案して投票したに違いない。そう思うと、「カジノ反対そのものを選挙公約にすることもできるが、新市長が住民投票を実現し、市民の意見に基づいてカジノ誘致の是非を判断する」ことが望ましいという武田 真一郎氏の提言が、正解だったのではないか。
熟議を持って自治を進めるとはなかなか難しい。

市長のIR誘致撤回宣言を受けて、事業の収束に向けた手続きは粛々と進んでいます。
しかし、2021年度のIR推進費3億6000万円のうちすでに8割が執行、契約済みであったとのこと。これは残念。
9/22の横浜市会建築・都市整備・道路委員会では、今後の対応として、①事業者公募手続の中止、②提案審査参加事業者との調整 、③横浜イノベーションIR協議会の廃止、④IR推進費の不用額精査と減額補正、⑤これまでの検討内容の引継ぎ等 という5項目が示されました。

◉委員会資料はこちらから→
https://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/katsudo/r3/R03kentodou.files/j7-20210922-tb-43.pdf

 

選挙を通じて市会に持ち込まれた課題、例えば、中学校給食や旧米軍上瀬谷通信施設跡地の再開発計画などについても、山中市政において政策転換を期待する声もあります。しかし、それはどうでしょうか。

事実上立憲民主党や共産党が支援し、衆議院選挙の前哨戦として野党共闘の勝利と評する方も多かった横浜市長選挙ですが、山中市政以前には自民、公明、立憲系会派がいわゆる与党的な立場であった横浜市会の実態は、国政の与野党の構図とは異なっていました。
私は、野党共闘とか全くピント外れてると思ってましたし、実際、今、政策的な矛盾を抱えている政党もあるのでは。
その意味では、はなから是々非々で臨める自民党、公明党のスタンスには矛盾がないしわかりやすい。
山中市長を担いだ人たちも、そうでない人もどこでポジションチェンジするんだろうか。
当面は衆院選を意識した攻防が展開されていくのかなと思いますが。