パブコメ実施中です!横浜市依存症対策地域支援計画(素案)

4月2日、カジノ管理委員会がIR整備法施行規則案を公表しパブリックコメントが始まったようです。
(カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則案」等に関する意見募集について)
かなりのボリュームなので、これからじっくり目を通したいと思いますが、報道によれば、カジノ内で認められるのは、バカラ、ポーカーなど9種類のテーブルゲームやスロットゲームだそうです。
気になる依存症対策については、本人、家族による申告で1年以上の入場制限が設けられること、施設内のATMの設置禁止、施設内での貸付は1千万円以上の預託がある場合に限ること、役員、主要株主に対して反社会的勢力との関わりや行政処分の有無を事業者免許交付の判断要件とすることなどが明記されているようです。これ、横浜市のIR市民説明会で、林文子市長が繰り返し話されていたような内容ですね。

IR推進法の付帯決議によって国や自治体がギャンブル依存症の支援体制を整えることが定められており、ギャンブル等依存症基本法ができ、ギャンブル等依存症基本計画もできました。横浜市も「依存症対策地域支援計画」素案を公表し、パブリックコメントも始まっています。(3月8日から4月6日まで)
横浜市依存症対策地域支援計画は、アルコールや薬物、ギャンブル等総合的な依存症対策を推進するもので、ギャンブル依存症対策に特化したものではないのですが、カジノ・IR施設の誘致を推進している横浜市として、カジノギャンブル依存症対策はしっかり示してほしいところです。

私も、素案に目を通したのですが、カジノ I Rについては「コラム」として、たった3分の1ページしか記述がない。驚きました。コラムですよ、コラム!
市の説明には「依存症全般を対象とし、依存症に関する支援の方向性を民間支援団体等や関係機関等の支援者と共有することで、包括的な支援の提供を目指すため、策定する」とあるのですが、具体的な対策が見えず、どう意見して良いのか悩みました。
そこで、3/22には、ことぶき共同診療所の精神科医師の越智祥太さんを講師に迎えて、素案を検証する機会を持ちました。

越智先生は、まず、依存症対策について、横浜市の目標や達成すべきことが示されておらず、民間に依拠する(いわゆる『丸投げ 』)の計画と、端的に課題を指摘されました。また、素案の全体を通じて、依存症への理解の普及・啓発・連携が繰り返し述べられていますが、苦しんでいる当事者や困っている家族、さらに彼らを支える支援者の姿が伝わってこないという指摘に、一同頷きました。

コロナ禍で野宿者や依存症は増えているそうです。一方で、競輪・競馬、ボートレースなどはインターネット投票により、コロナ禍でも活況を呈している状況。孤立・孤独から負のスパイラルに陥り、それでもギャンブルを止められず、時には犯罪者となったり、自殺に追い込まれる場合さえあると言います。
依存症の原因の根幹には、孤独感、孤立感があり、それを埋めるために依存してしまう。他に頼れる人がいなくて共依存に陥ってしまう。
こうしたお話には、福祉の現場で関わる家族の姿が重なり、考えさせられました。
依存症の当事者が抱える問題は複雑でいくつもの課題が重なりあっていることも多いと言います。ところが、横浜市の場合、区のソーシャルワーカーは、子ども(母子保健)、障害、高齢といったそれぞれの専門分野で動いていています。これではうまく機能しないという越智先生の指摘も、日々感じていたことでした。
依存症の回復支援には、当事者同士が支え合うミーティングなど、人と人とをつなぐ地域のサポートが何よりも有効であり、横浜市は依存症の当事者や家族を地域にワンストップで支える仕組みを整えるべきとの提案もありました。

予防医学では、一次予防(未然に防ぐ)、二次予防(早期発見、早期治療)、三次予防(再発予防)という考え方があるそうです。しかし、素案では、「予防」ではなく一次支援、二次支援、三次支援という言葉に置き換えられています。特に、一次予防の視点で、環境設定は非常に重要で、例えばギャンブル等依存症に対しては、「カジノをつくらない」ことが大きな意味を持ちます。ところが、横浜市はカジノ・IRの誘致を推進しています。そんな矛盾を抱える中で「予防」を「支援」と置き換えたのではないかというのが越智先生の仮説。

なるほど。では、私は、あえて、「何よりも依存症を予防する環境設定が重要であり、ギャンブル施設をこれ以上作らないというような実効性のある対策を求める」という意見を提出しよう!

越智先生をはじめ「横浜へのカジノ誘致に反対する寿町介護福祉医療関係者と市民の会(KACA)」は、カジノIRや依存症対策計画の抜本的な見直しを求め横浜市に申入れを行っています。
こちらから