やっぱりおかしい「コロナ特例」
新型コロナウイルスの感染予防対策に追われる介護事業所の支援策として打ち出された(*1)特例措置(臨時的報酬算定)について、大河原雅子衆議院議員から呼び掛けがあり、7月22日、介護の崩壊をさせない実行委員会メンバーと、ヒアリングに参加しました。
事業所の立場から訴えたのは、この特例を事業所、利用者はどう受け止めたかということ。
確かに、コロナ禍の中で経営は厳しい。
体調がすぐれない方には利用を控えてもらう、3密を避ける意味から利用定員、送迎定員を引き下げる、食事の提供を中止し短時間の開所とする、スタッフ・家族の体調を考慮しシフトを編成する、訪問や電話などのサービスに切り替える。収入は減少してもスタッフには100%の休業補償を実施する。雇用調整助成金に加えて、自治体の支援事業(*2)も活用する等々。
私が運営に関わるデイサービスでもこうした対策を講じています。
利用者の立場からは、「お世話になっている、これからも利用したい、同意を求められれば断りにくい」と言った声が聞かれます。十分な説明もなく同意をされたケースも多く存在します。
利用者が同意しないケースは特例報酬を算定できないとなれば、同じサービスを利用している利用者の負担に不公平が生じる状況も発生します。さらに、「利用限度額をオーバーした場合は算定しない」、「限度額オーバーした場合、不公平になるので10割負担を請求する」など、現場の判断も様々。混乱しています。ヒアリングに参加された認知症の人と家族の会からは、「コロナの影響で利用料が引き上げになります」と誤った説明を受けた事例も報告されました。
そんな状況下で、審議会での議論もないままに降って沸いたような特例措置。どのような検討がされきたのかもわからない。制度設計としては、あまりに雑では無いでしょうか?
この特例措置について、7月20日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会でも異論が出たことが報道されています。
〜神奈川県の担当者が、「特例の趣旨は理解できるが、今の状況下では利用者の同意を得ることが非常に困難。事業所は算定しにくい」と指摘。「通所介護の重要性を考慮した臨時的、例外的な措置として、増加分の利用者負担は求めないことにしてはどうか」と提案し、厚生労働省の担当者は、「我々も様々なご意見を頂いているところ。今後どんな対応が適切なのか、少し考えさせて欲しい」と応じた。〜(介護ニュースサイトJOINT)
ヒアリングを通じ、野党の中では今回の特例措置を撤回し、報酬増額分をあらためて公費で負担することについて、所要額も含めて試算されていることもわかりました。ぜひ、具体化を望みます。
同時に、この問題は、保険者としての自治体側からの働きかけも重要だと思います。
引き続き、現場の声をあげ続けます。
自治体支援事業(*2)
介護サービス事業所等に対する介護サービス継続支援事業について(通称:かかり増し助成)
運営費助成事業について(通称:3密対策助成)