コロナショックと横浜IR〜緊急事態宣言の発令前に軌道修正を〜

外出自粛要請が出される中、2週連続の静かな週末を迎えています。
ウィークデイは、学童保育や放課後等デイサービスの現場に、朝から子どもたちの声が響いていますが、今年は例年とは異なる春休み。新型コロナウィルス感染予防のために新たなルーティンが追加される日々。大人も子どもも緊張の中で毎日を過ごしています。
どこまで続くのだろう。先行きの見えない状況に生活・雇用の不安が広がります。

いっ時は、衛生品が底をつきそうになったものの、地域の方が何度も薬局に並んで手に入れたアルコールを届けて下さりピンチを凌ぐ。感謝、感謝。先週末からは、ようやく国や市からマスクも届き始めたところ。

小池百合子東京都知事は、昨日(4/3)の記者会見で、政府に改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を促し、発令時の都の対応方針も説明 。私たちは事態の深刻さを改めて突きつけられています。

コロナショックは、リーマン・ショック上回る深刻な世界不況で、2020年4~6月の米経済成長率はマイナス50%、失業率は30%まで悪化する可能性があると言います。(3/23ロイター)
まさに、この1〜2ヶ月の間に、対岸の火事があっという間に自分ごとになって行くプロセスを世界中の国々が経験し、ついに我が国の政治・経済の機能が集中する東京の知事が首都封鎖(のちにトーンダウンしていきますが)に言及する事態となったのです。その東京に、通勤・通学によって横浜から流入する人口は43,4万人です。この危機にリーダーの姿勢はどうなんだろう?とついつい批判的に書きたくなってしまいます。

横浜港大黒ふ頭に係留されていた、ダイヤモンド・プリンセス号でのコロナウィルス感染者対策が世界中から注目を浴びる中、2月13日に林市長は横浜市会で、2020年度予算案を提案し、ワールドクラスのクルー ズポートを目ざす意気込みを語り、IR(統合型リゾート)の本格的な検討・準備を進めることを宣言しました。

その後も、新型コロナウィルスの感染拡大は止まらず、イベント自粛や一斉休校要請、入国制限と様々な対策が打ち出され、 東京2020 オリンピックの開催さえも危ぶまれる事態となっていっていた3月17日、林市長は会見で、新型コロナウイルスの感染拡大がIR事業者募集に与える影響を問われ、「ないと思う」と答えます。参入を断念する事業者がいたとしても「(参入が)全くないということにはならない」「(影響)は限定的なものにとどまる」との見解を示したのです。本当にそうでしょうか。

3月24日 横浜市会本会議を傍聴。2020年度予算は賛成多数で可決。

ロナショックで最も影響を受けているのはおそらく観光産業で、ホテルや旅客業、飲食店など大きな打撃を受けています。そして、カジノ ・IR業界も同様に大きく落ち込んでいることが伝えられています。韓国でも、マカオでも、シンガポールでも、米国でも。
各種経済レポートを見ても、新型コロナウイルス対応に忙殺されるIR事業者にとって、日本のIRへの新規投資の優先度は下がり、投資規模も縮小するであろうことは想像に難くない。すでに、大阪府と大阪市はIR誘致のプロセスの延期に追い込まれました。

では、我が横浜市は?といえば、コロナ問題を受けて、IR事業のプロセスを見直すこともなく、経済効果や増収効果をシミュレーションし直すこともなく、3月6日からは、IRの方向性についてパブリックコメントを強行。3月24日には、IR誘致予算を含む横浜市2020年予算も可決し、4月1日からは、IR広報動画まで公開。脇目も振らずに手続きを進めています。

目の前の危機を直視せず、「世界コロナ恐慌」の真っただ中に、インバウンド集客のデメリットにダンマリを貫き、カジノ・IR誘致を突き進む林市政。
しかし、今、横浜市が最優先で取り組むべきことは、拡大の防止はもとより、市民の生活を安全・安心なものにすることです。けっして、カジノ・IR事業の推進ではないはずです。 

4月3日に開催された「横浜市新型コロナウイルス対策本部会議」で、市長は、まさに今が正念場です。市民の皆様の安心・安全をお守りする最後の砦として、全庁を挙げて英知を結集し、この難局を乗り越えてまいります。」「この難しい局面を切り開いていくためには、市民の皆様、事業者の皆様のご協力が必要です。とコメントされたようです。

市政への信頼や共感があればこの市長のメッセージは響くだろうと思います。
市長、緊急事態宣言の発令前になんとか軌道修正すべです。
タイミングとしては、もうギリギリのところにきているのではないでしょうか。