横浜〜創造的なまちづくり〜
「歴史も文化もある横浜に、美しい港もあって市民力も共感力もある横浜に、何でカジノが必要なんですか?」
カジノ誘致に揺れる沖縄で長年反対運動を続けてこられた糸数慶子さんのメッセージでした。
もう、そーなんですよとしか言いようがない。
戦後の人口急増期に構想された横浜の6大事業から脈々と続く多様な価値観と自由な発想による創造的なまちづくり。そう、めざしているのは「クリエイティブシティ」。とにかく横浜は素敵な街なはず。
「飛鳥田さんや細郷さん、高秀さんならこんな選択しなかったと思う、カジノ・IRの誘致は、まちづくりの歴史にない特異な事例だ。」そう話されたのは元横浜市技監の森誠一郎さんでした。横浜・みなとみらい21(MM21)地区の開発や、戸塚駅西口再開発に関わった森さん。大事にしたいのは都市としての品格だと繰り返しおっしゃいました。森さんのお話は、哲学があっての事業だと言う藤木幸夫横浜港運協会会長の言葉にも重なります。
IR担当副大臣も務めた秋元司衆議院議員が収賄容疑で起訴されたことを受けて、国会では、野党の追求が続いています。首相や官房長官への米大統領やカジノ事業者からの働き掛けの有無も問われています。そこで、繰り返される首相の、「国民的な理解が大変重要、丁寧に進めてまいりたい」「独立性を有するカジノ管理委員会の議論も踏まえて・・・」といった答弁は、IR誘致に躍起になっている我が横浜市長の姿に重なって見えてしまいます。
マスコミ各紙の世論調査結果には、カジノを含む IR を推進することへの反対の声が根強く表れています。インターネット中継から聴こえてくる、特別法を作ってカジノを合法化してもなお、賭博は人の道に反する違法なものという社会通念が国民の間に強いからだという野党議員の指摘に大きく頷く。
そんな国会質疑の中で、カジ・IRの対案としてクローズアップされているのが横浜のハーバーリゾート計画=カジノによらない開発構想です。国際展示場を中心とした開発計画の経済効果は、投資額7800億円、税収増も800億円/年(概算)で、十分収支が見込める100%民設・民営事業とされています。
国際展示場のニーズがあることは安倍首相も答弁の中で認めています。さらに、カジノによる有害な影響や、その対策にかかる社会的コスト、カジノ一極集中によって地域経済に与える影響などデメリットも発生しない。
林市長が諮問し策定された山下ふ頭の開発基本計画(2015年)には、「ハーバーリゾートの形成」という目ざすべき都市像を掲げられています。そこには、そもそもカジノの文字もなかったはずです。
デメリットはあるより無い方が良いですよね?と問われた安倍首相は、(ハーバーリゾート計画は)あくまでも個別の団体、自治体として検討している事だからコメントは差し控えたいと答弁。しかし、横浜市においてカジ・IRとの比較、検討という意味での議論は全く行われていないのであります。
カジノ・IR問題がなければ、これほどまでに山下ふ頭の再開発計画が注目されることもなかったかも知れません。
横浜市にとって貴重な市有地、すなわち市民の財産をいかに未来に繋いていくのかクリエイティブシティの名に恥じない議論を進めたい。