どうなる? 介護保険

4日、国会集会2019「選挙の前に教えてよ! どうなる? 介護保険」に参加しました。(主催:介護保険ホットライン企画委員会、介護労働ホットライン実行委員会)

コーディネータ 小竹雅子さん(介護保険ホットライン企画委員会 共同代表)

社会保障審議会介護保険部会は、2020年の通常国会に介護保険法改正案を提出すること念頭に、今年の冬までに見直しの内容をまとめるとしています。
すでに、「主な検討事項(案)」も示されていますが、どーもよくわからないということで、財務省や厚生労働省の見解を確認しつつ問題点を共有しました。

介護保険部会の議論に先立って進められている、財務省の財政制度等審議会は、要介護1、2の「生活援助サービス」を給付から外し、地域支援事業へ移行するとことを提案しています。
すでに、要支援1、2のホームヘルプサービスやデイサービスは給付から外されていますが、「給付から外されたサービスを、住民が担い手となって提供する」という構想(総合事業)は実はうまくいっていません。
例えば、住民主体の通いの場(通所B)は、未だ全国で1200箇所程度にとどまっていることも判明。全国でですよ!全く制度としては機能していないと言わざるを得ない状況です。この点について、福祉ジャーナリストの浅川澄一さんは、「住民主体のサービスを上から作らせるなんて無理」とまっとうなご指摘。

今日は、6月に決定される予定の認知症対策大綱の中で、予防のために達成すべき「数値目標」の設定を取りやめることが報道されたばかりですね。
この目標値は、そもそも標本調査の結果として得られた推計値を基にしたものだそう。そこで、あらためて、認知症に関して各自治体で全数調査に取り組み、認知症ケアの進捗を評価できる仕組みを考えていく必要性を確認しました。

介護保険がスタートして20年。保険制度の目的は大きく変遷してしています。地方分権の試金石』とも言われた介護保険制度。地域に多くの事業者が生まれたのに、大規模事業者に集約して効率化を図ろうという流れは如何なものか。国の改定に振り回されて、自治体における「制度の多様性」を発揮することもできない。ニーズは高いのに事業として成り立たたず、多くの事業者が人材確保に苦慮している。2020年度までに約26万人、2025年度までに約55万人の新規介護人材が必要とも試算されています。

鏡諭さん(淑徳大学コミュニティ政策学科教授)、服部万里子さん(服部メディカル研究所所長)、小島美里さん(介護保険ホットライン企画委員会)、大河原まさこ衆議院議員

服部万里子さん(服部メディカル研究所所長)さんからは、利用者支援の要と言われるケアマネジャー(介護支援専門員)の受験者が前年より68%減少したことや、70万人の有資格者のうち17万人しかケアマネとして働いてない実態が報告されました。その上で、ソーシャルワークとしてのケアマネージメントに自費を導入することや、自費導入によって質の向上が図られるという改定議論を牽制されました。

財政論が先行し、給付の抑制ありきの議論が進むことについて、鏡諭さん(淑徳大学コミュニティ政策学科教授)は、『介護保険という制度の中で安心して暮らしていけるのか。その上で、今のサービスが十分かどうか 必要なサービスを提供するために負担はどうあるべきかという議論をすべき。当事者不在の粗い議論である」と苦言を呈されました。
(その通りだ!と心の中で叫ぶ)
最も大きな問題は、制度を作る人と、使う人が乖離していることではないだろうか。粘り強く現場のリアルを制度に繋げるアクションを展開したい。

介護保険や総合事業の課題は過去のエントリーでも取り上げています。ぜひ、そちらもご一読ください。