顔の見える「生活クラブでんき」〜「この人たちがつくる」・「この電気」使えてるという感覚が大事なわけ〜

4月20日、「脱原発と自然エネルギー社会を展望するフォーラム〜生活クラブでんきキャンペーンスタート集会〜」が開催されました。
 生活クラブエナジーは、自前の自然エネルギー発電所との契約はもちろんのこと、自然エネルギーの豊かな地域と都市の生活者を結びつけ、「人」と「人」との関係づくりや、社会づくりをすすめることを掲げています。

 昨春、生活クラブでんきユーザーになった私にとっては、初めて私が使っている電気を作ってくださっている生産者の皆さんにお会いする機会となり、その想いに触れ、「この人たちがつくる」「この電気」を使えてる幸せを噛みしめるひと時となりました。

基調講演では、公益財団法人自然エネルギー財団常務理事の大野輝之さんから、原発の設備容量を超えて拡大する世界の自然エネルギーの状況や、パリ協定と脱炭素化の動きなどが、詳細なデータとともに報告されました。
2016年に世界の自然エネルギー発電量は原発の約2倍となり、 2017年には風力発電で1.77セント/kWh、太陽光発電で1.79セント/kWhという世界最安値が記録されたそうです。大野さんは、自然エネルギーは多くの国と地域で最も安価な電源で、安全性に加え経済性という点でも他のエネルギー源に比べ優位となっていると言います。

世界が石炭火力発電から撤退政策を打ち出す中、日本では43基の石炭火力発電の新増設プロジェクトが進んでいます。大野さんは、国内外で石炭火力を拡大しようとする日本の政策は世界の気候変動対策を損なうもので、国際的な評価を低下させるものだとあらためて指摘されました。また、これまでの日本のエネルギー戦略を主導してきた環境省や経済産業省を牽制する動きとして、石炭火力の段階的な廃止や原発依存の限りない低減をうたった外務省「気候変動に関する有識者会合」の提言も紹介され、今後の政策転換への期待も語られました。
さらに、世界の企業の間で広がり始めた「RE100」(自然エネルギー100%で事業運営を行うことを宣言するアクション)に、日本の企業イオンが加盟したというニュースも紹介されました。イオンは2025年までに事業運営に必要な電力の100%,を自然エネルギーに切り替えるそう。74億kWh/年の電力を消費するイオン。その消費量は日本全体の電力消費量8.505億kWh/年の約1%を占めます。こうした企業の動きが注目されRE100へのモチベーションに繋がることが期待されます。

生活クラブエナジーに電力を供給している会津電力(株)代表取締役の佐藤彌右衛門さん、飯舘電力(株)取締役千葉訓道さんからは、会津や飯舘で生まれる自然エネルギーにより、自力で復興の道をひらき次世代の若者のために豊かな社会をつくるという想いと実践を伺いました。いずれも、東京電力福島第一原子力発電所による原発事故の経験から生まれた電力会社で、現在、会津電力グループは会津に58箇所、中通りに12箇所、飯舘電力は50箇所の発電所を展開しています。
佐藤彌右衛門さんが会長を務める大和川酒造飯豊蔵では、生活クラブエナジーの電気を購入し「地の水、米、技、エネルギー」による郷酒造りもされています。千葉さんからも、「生業は農業。だからソーラーシェアリングもやる。信用金庫から金を借り、地元の建設会社が施工する、部品提供も地元企業から。収益は地元で配分する」といった地域循環型経済を取り戻すためのボトムアップの戦略を伺いました。

極め付けは、飯舘村入り口に設置されたという看板。
訴えたかったのは、『飯舘電力(株)は<村民出資>の電力会社、クリーンで安全なエネルギーだけを発電、それを<クリーン電力の伝道師>が売電、全国の皆さん!飯舘電力の電気は生活クラブエネジーから買えます!』(原文通り)なんだそうです。

2014年度10月に設立された生活クラブエナジー。現在の契約数は12,250人(低圧接続契約)、81事業所(高圧接続契約)で、2017年度電力供給量は約5,000kWhとなっているそうです。さらに低圧接続供給契約者(組合員)の33%が「生活クラブ自然エネルギー基金」(自然エネルギーや省エネルギーの推進のための資金として活用される)に参加し積立金は1900万円にのぼります。運動のベースはある。
食品や生活用品と同じようにエネルギーも消費財。顔の見える関係、その信頼の中で広がる消費の力、選び取る力で社会を変える。
生産者の皆さんの想いにうるうるっときた参加者一同。応えなければ!消費者も。