難しいけどやっぱり必要「公園を良くしていくために」の議論

13日、公園を考えるミニフォーラムを開催しました。きっかけは、現在開会中の横浜市会に、「公募設置管理制度」を新設する条例改正案が提案されたことでしたが、公園をめぐっては、対立する意見も含めていろんな意見が聞かれるし、不特定多数の人が集い憩う場所として求められる役割も多様化しています。
そこで、あらためて公園の管理がどうあったらいいのかを考えるために、こども自然公園(旭区)の中にあるどろんこ園の指定管理者、NPO法人こども自然公園どろんこクラブの藤井優子さんにも参加いただいてお話を聞きました。(子ども自然公園を管理しているのは北部公園緑地事務所。)

公園には、実にいろんな人が訪ねてくるそう。「野鳥の隠れ家になってるんだから草を刈らないでほしい」いや、「ホタルの生息のために刈ったほうがいい」とか、対立する意見や対応の難しい(クレーム的要素が強い)意見も含めて寄せられると言います。行政が必ずしも、生き物・植物のことをよく知っているわけではないし、どこの公園でも、ごくごく少数の意見に影響されて管理が行われてしまうことも起こり得るだろうし。でも、それぞれ「公園を良くするために」と思っているだろうし。難しいですね。
藤井さんからは「ここの公園って、こういう公園なんだ」と、市民が理解できるようメッセージされているか、維持管理の基本的な考え方を示す「管理計画」があるかということが大事だとアドバイスがありました。まずは、どのくらいの公園で管理計画が策定されているのか、調べてみたいと思います。
新設される「公募設置管理制度」は、今年6月の都市公園法等の改正による「 Park-PFI 」( P-PFI )」という取り組みで、「公園において飲食店や売店などの収益施設等と、園路、広場等の整備を一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度」と説明されています。自治体にとって公園の整備や更新のための財源確保が課題になっている中、公共資金だけでなく民間資金を活用して、公園の魅力向上と公園の整備・更新を持続的に進められるとの説明もあります。公募設置管理制度の新設に伴って、原則2%とされている建蔽率についても、横浜市は法律上の上限の10%まで緩和することも提案されています。
横浜市はすでに国家戦略特区で公園内に保育所を整備する取り組みを実施していますが、今回の法改正で全国で設置できることになります。公園に保育所を設置することについては、杉並の反対運動なども注目されましたが、横浜市では早い段階から、学識者や保育事業者、こども青少年局、環境創造局といた関係者が集まって研究を重ねていたようです。私も決してデメリットばかりではないと思っています。保育園の運営に関わり「保育所×地域つながり力マップ・ワークショップ」を経験する中で「まち保育」という概念も学んだし、公園を日常的に使っている保育事業者がマネージメントの担い手になれる可能性は十分にあるだろうと感じています。
公募設置管理制度に基づき選定された事業者は、上限20年の範囲内で 設置管理許可を保証されますが、高齢化や人口減少が進むなど社会情勢の変化が予想される中、まちづくりの方向性も変化するだろうし、公園に求められることも変化していくはず。そうすると許可期間が20年で良いのかという疑問は残ります。
すでに、横浜市は事業者から公園活用に関するアイディアを聞く「サウンディング型市場調査」を実施しているとのこと。でも、これはあくまでも民間事業者の公募への参入意欲を高めるための取り組みだし、制度がスタートしても絶えず公園管理者と利用者、その調整役の行政、さらには識者も加わって、「公園をよくするために」の議論をしていくことは必要だろうと思います。