「中間的就労」その多様性に着目したい

 

学習会&ワークショップの一コマ。 あなたにとって「働くとは?」「困難な状況にあっても働く」事を支援するのはなぜ?この問いに、まずは向き合いました。


神奈川ネットの新しい生き方・働き方研究会・就労支援チームでは、生活困窮者自立支援制度に位置づけられた就労訓練事業について調査研究を進めています。9日には、NPO法人ユースポート横濱の綿引幸代雄理事長を迎えてワークショップを開催しました。
生活困窮者自立支援制度が始まる以前から、地域では、ワーカーズ・コレクティブやNPOが受け皿となり困難を抱えた人と働く実践を重ねていました。働きたいという希望を持っていても疾患や障害などで就労につながりづらい人や、短い時間であれば働き続けられるという人たちにも出会い、「その人なりに働き続けられる場」として、中間的就労の制度化を求めてきた経過もあります。なので、中間的就労が新たな制度の中に位置づけらることには期待しましたが、現時点では、一般就労に向かうブリッジとして狭義の中間的就労と捉えられており、そこには若干違和感を持っています。
生活困窮者自立支援法が始まって3年。相談者の状況は以下の通りです。
・40代から50代の無職男性 : 2割
・就労中の困窮 : 3割
・子供のいる現役世代 : 3割
・65歳以上 : 2割

(生活困窮者自立支援のあり方に関する論点整理のための検討会資料より・2017年3月17日)

就労訓練事業については、利用件数が全国で354件(2015年4月〜2017年3月)にとどまり、新規相談数の45万人に対して0,08%という状況です。横浜市は、横浜市就労訓練事業支援センター(NPO法人ユースポート横濱に委託)が事業所を開拓し相談者とマッチングするなどの取り組みを行なっていますが、事業所認定を行う多くの都道府県や政令市は、ほとんど事業所開拓を行なっていないのではないでしょうか。認定事業所数130箇所と全国自治体の中でダントツの認定事業数となっている名古屋市は、独自に認定訓練事業所への協力金を支払う試みを進めているようですが、後に続く自治体や国の動きは見えてきません。
利用者にとっては、生活に困窮している状態で、最低賃金を保障されない非雇用型の訓練を受けづらい、事業者にとっては、人件費や非雇用型訓練期間の保険料など事業所負担が大きいなど、就労訓練事業の課題も明らかになっています。にも関わらず、事業所の自主事業の位置付けで公的な後押しは「認定」(お墨付き)のみという状況。
これまでも、若者や障害者を対象としたジョブトレや支援付き雇用など広義の中間的就労は様々実施されてきたし、生活困窮者自立支援制度では就労準備支援事業も実施されています。就労訓練事業も、「一般就労に向かうブリッジ」という捉え方を超えられれば、もっと多様性のある働きを生み出せるのではないでしょうか。私たちも中間的就労の実態を可視化できるよう成果や課題を現場目線でリアルに捉えて政策提案に結びつけたいと思っています。
さて、冒頭の学習会&ワークショップの問いの答えですが。
私は、卒業後の進路として「何のために」などと余り悩むこともなく働く事を選びました。あらためて働くことをどう捉えているかと問われれば、「何か役に立つ事をしたい」からだし、「生活を成り立たせるために、将来に備えて」といったこともあります。

現在、就労体験で一緒に働いている彼らも同じような思いを持っているのではないかと思いうし、2番目の問いの答えとして、「問題は彼らにあるのではなく、社会にあるのではないか」と、今強く実感しています。