「まち保育のススメ」地域で子どもを育てる・・・地域って?
先ごろ出版された「まち保育のススメ」に、ピッピ保育園と横浜市大三輪研究室で取り組んできた「おさんぽMAPワークショップ」の取り組みが紹介されています。6月30日には、三輪律江さんを講師に迎え、これまでのワークショップを振り返り、あらためて「まち保育士になろう!」という勉強会が開催されました。
三輪さんは、子どもも保護者も地域社会との関わりが希薄化している中で、子育て支援は私的領域から公的領域で行う時代に変化しており、各ライフステージで地域と関わることができる仕掛けが必要と指摘されています。そこで、保育所の園外活動に着目し、保育所×地域つながり力マップ・ワークショップ」に取り組み、そこから生まれたのが「まち保育」という考え方です。
今年度、ピッピ保育園を拠点とするワークショッププロジェクトは6年目を迎えます。日頃の保育園のおさんぽ活動を通じて、子どもの目線で発見する「お気に入り」のポイントや、「ここにはこんなものがあるよ」という情報、きれいにお花を飾ってくれて「ありがとう」というような感謝の気持ちを込めてご近所の方に贈る「ありがとうカード」などの取り組みで、地域との繋がりを見える化してきました。
昨年度は、防災体験ワークショップや熊本地震を経験された保育園の園長先生による講演会も開催、ここには地域の方々をはじめ、保護者や近隣公立保育所からも参加があり、皆さんと地域防災について考えるきっかけができました。
ピッピ保育園の取り組みを紹介した相原むつみ園長は、「子どもたちが地域を歩きながら、このうちは○○さんちというように話す、そして、お母さんもそのお家の人とお話し、挨拶できるようになるといい」とメッセージ。
三輪さんも、地域に住む子育て家庭のために、保育施設を福祉避難所的な位置付けとする新しい地域防災体制を展開できるのではないかとの手応えを感じておられます。さらには、子どもの目線でまちの再点検、再評価、再整備を行うことで「子どもが育てやすいまち」という価値付けができる可能性にも言及しておられます。
私たちは、なじみの界隈を楽しむ子どもたちの様子を見てきました。地域の皆さんとアンテナを張り合うことで生まれる新しい関係にも気づきはじめています。改めて子どもの活動領域から生まれる関係性をベースに、いろんな子どもや大人が関わりあい「地域で子どもを育てる」経験を重ねていきたいと思います。