ハマ弁の「役割」「公平性」について考えてみた

すすき野デポーふれあいルームでミニフォーラムを開催


7月から、中学校昼食「ハマ弁」が、青葉、都筑、緑の北部3区12校でスタートしています。
16日には、子育て中の皆さん、食に関わるお仕事をされている方、子育て支援に関わるNPOメンバーなども集まって、中学校の昼食のあり方について意見交換しました。
皆さん「ハマ弁ってどんな弁当なの?」と興味津々で集って下さったのですが、試食については、保護者、マスコミが優先、市民がハマ弁を試食できるのは、もうちょっと先のようで、教育委員会の作成したパンフレットやインターネットの情報をもとに、献立や食材、価格などについて、青木マキ市議から報告がありました。
民間事業者のノウハウを活用して実施するというハマ弁。要は、事業者が献立や食材調達、注文管理、弁当製造、配達など事業のほぼ全てを担い、教育委員会は献立の確認や学校との調整などを行うということ。第1週の配達個数は12校で496個、1校につき1日8,27個の注文があったそうです。こちらはぼちぼちという感じで、現時点では、従来から中学校にお弁当を届けている馴染みの「業者弁当」の注文数の方がはるかに多いという状況のようです。
IMG_3727そこで、お預けのハマ弁は置いといて、青葉区で10年にわたり中学校にお弁当を配達している“ミズ・キャロット”さんのこだわりのお弁当を試食。地域のお弁当屋さんが顔の見える関係で提供するお弁当です。温かいお弁当、たいへん美味しくいただきました。
そもそも、ハマ弁の「昼食の確保が困難な生徒への支援」という役割に着目し、このフォーラムに参加された方もいらしたのですが、具体的な支援の形は未だ見えていません。横浜市教育委員会は、現在はごく一部の中学校のモデル実施であり、全校展開のタイミングでスキームを明らかにするというスタンス。それは、「公平性」を期すためであるとのこと。
すでに、支援の対象については「基本的に各学校に判断してもらう」という方針が明らかにされています。公平性にこだわるのであれば、小学校の給食費の支援と同じように、就学援助などを受けている家庭が支援を望む場合、その要望に応える仕組みとすべきだと思います。しかし、支援のための予算は3000万円(2016年度)で、支援対象としては800~900人分(全生徒の1.1%)に過ぎず、小学校の援助対象約22000人(同12%)の10分の1の規模です。
参加された皆さんからは、「思った程注文がのびず、昼食の確保が困難な生徒への支援も十分に行えないとしたら、ハマ弁を実施する意義はなんなのか」と厳しい意見も。「“ミズ・キャロット”さんのような業者弁当に、困窮家庭の支援を組み合わせる方が、シンプルで良かったのでは?」といった意見も聞かれました。が、そうなると色んな業者があって別の意味で「公平性」が確保できないということになるのでしょう。370万の人口を抱えるまちで公平性を確保すること、それは必ずしも市民が望むこととは重ならない。難しい課題です。
ミズ・キャロットさんは、各家庭にもお弁当を配達していますが、最近、子育て家庭のニーズが増えているそう。また、「サービスの対象ではないけれど、気になる親子に食を通じて関わる機会を得た、その家族を心配していた近隣の老夫婦の存在も知った、その方たちは外出が難しい状況であることも解った。食をきっかけに一歩踏み込むことで見えること、できることがある」とお話下さいました。「福祉現場でもシングルマザーが複合的な困難を抱えている状況が見えている、まずは食を通じたサポートができないか」といった問題提起もあり、「場」と「人」を生かすネットワークづくりに向けて前向きな意見交換もできました。引き続き、ミニフォーラムを重ねていきたいと思います。