自然エネルギーを買いたい!パワーシフト・キャンペーン

 29日に、パワーシフトキャンペーンを展開されているFoEJapanの吉田明子さんをお迎えして、電力システム改革とエネルギー政策の動向や、自然エネルギーを中心とした新たな電力会社の準備状況など伺いました。
 電力システム改革により2016年4月からは小売り全面自由化が始まり、家庭や小規模な事業所でも電力会社を選び電気を買えるようになります。小口電力(50Kw以下)の市場規模は 8,1兆円、そのうち7,5兆円が家庭部門とされており、石油元売りやガス、通信など様々な業者も参入し、続々と新しい電力会社が生まれています。すでに特定規模電気事業者(pps)は700社を越えており、現在49社が登録申請中(電力取引監視等委員会)とのことです。
 地方自治体の発電事業、とりわけ、県内13の水力発電所で発電事業を行い35万4,689キロワットの出力を有する神奈川県企業庁の今後の売電のあり方にも注目が集まっています。企業庁は、東京電力との間で2023年度まで、発電した電力を全量卸供給することを取り決めた電力受給基本契約を締結しており、契約を中途解約した場合の違約金が懸念されることからこれまでは契約の見直しを行わないとしてきました。しかし、今年3月「卸電力取引の活性化に向けた地方公共団体の売電契約の解消協議に関するガイドライン」が策定されており、企業庁もあらためて検討を行う方針を持っていますので、今後の動きを注視したいと思います。
 いずれにしても、気になるのは、再生可能エネルギーを供給する事業者が出てくるのか?私たちがそういう事業者を選べるのか?というところ。特定規模電気事業者に登録しても実際には稼動していない事業者も多く、小口向けの託送料金については1kwh当たり7〜8円とされ割高感もあり大手事業者も参入に慎重であるとのことです。そういった情勢で、吉田さんたちが提唱されているのがパワーシフト・キャンペーン。パワーシフト・キャンペーンは、環境団体や消費者団体などが運営し、消費者の選択の促進による再生可能エネルギー社会の実現を目指しています。
 自然エネルギーの電力会社を選びやすくするために、また、自然エネルギーの電力会社を実際に選ぶ(契約変更する)人を増やすために、制度面での働きかけを行ったり、自然エネルギーを中心とした電力の供給を目指す会社にヒアリングを実施し情報提供を行っています。ヒアリングからは、資本力、宣伝力、制度上の制約と事業の立ち上げが厳しい状況にある事業者の実態も見えてきたそうです。そこで、「パワーシフト宣言=自然エネルギー買いたい宣言」という形で自然電力購入希望登録者を募って市民・消費者による後押をしていこうという取組みも始まっています。
 合わせて、吉田さんからは、省エネ・節電を地域に広げるしくみとして「かがわ省エネ節電所」の取組みも伺いました。かがわ省エネ節電所への登録事業所は現在451事業所ですが、こうした取組みをいかに「見える化」し地域に広げていくかが重要と話されました。私たちが取組んで来たエネルギー政策「電気を変える計画」でも市民節電所を増やし可視化することの重要性を訴えてきたところです。今後も、省エネ・節電とともに、「自然エネルギーを買いたい」という声を可視化していくパワーシフト宣言を広げていきたいと思います。

■ パワーシフト・キャンペーンが重視する点
1. 電源構成や環境負荷、などの情報を一般消費者開示していること 
2. 再生可能エネルギーの発電設備(FITをふくむ)からの調達を中心とすること
3.原子力発電所や石炭火力発電所からの調達はしないこと(常時バックアップ分は除く)
4. 地域や市民による再生可能エネルギー発電設備を重視している
5. 大手電力会社と資本関係がないこと「自然エネルギーの電力会社を実際に選ぶ(契約変更する)人を増やす」