「フラットな関係×フラッとよる場所=ふらっとカフェ」

 川崎市立川崎高校定時制におじゃましました。毎週金曜日、定時制中間部の授業が終わると「ふらっとカフェ」に生徒が集まって来ます。ふらっとカフェではNPO法人多文化共生教育ネットワークかながわによる学習支援が行われています。この取組みは、神奈川県の基金21事業(協働事業負担金)の高校教育課との協働事業の一環として行われています。サポートするのは、大学生や言語サポータです。
ふらっとカフェの開催に合わせ、もうひとつのカフェ「ぽちっとカフェ」も開かれています。こちらは、川崎市健康福祉局の予算を活用した校内カフェの取組みで、社会福祉法人青丘社によって運営されています。集まって来た生徒はジュースやお菓子が用意されたカフェで本を読んだりおしゃべりしたりと思い思いに過ごし、22時まで生徒の姿が途切れることはないそうです。カフェという空間を活用して生徒との信頼関係をつくり、生徒の抱えている課題をキャッチし相談や支援に結びつけ、貧困や、小学校や中学校での不登校経験、 いじめを受けた経験などさまざまな困難を抱える生徒のサポートを行うことで中退の予防にもつなげたいといったお話を伺えました。2つのカフェのコラボも良い効果を生んでいるようです。
 教頭先生からは、ケースワーカーから生活保護制度など福祉制度を学ぶ機会を持つことで、教員にとってもさまざまな気付きや発見 があったとのお話も聞かれました。
 以前に視察をさせていただいた県立田奈高等学校の校内図書館で開かれている「ぴっかりカフェ」でも、同様の取組みや効果を伺ったところです。(クラウンドファンディングや民間の助成金を活用した取組みで公的支援はなし)
 
 大阪府では、2012年から、国の基金も活用し校内カフェ事業に取組んでおり、今年度は地域住民生活等緊急支援のための交付金(地方創生先行型)を活用し「高校内における居場所のプラットフォーム化事業」として、府内20校に広げられているとも聞きます。貧困などの社会的不利が学校生活の継続やその後の将来に与える影響については、すでに内閣府の調査等でも明らかにされています。子どもの貧困対策会議では、学習支援や居場所の必要性も言われています。
 川崎市の自立支援室(健康福祉局)としても、ケースワーカーは親を支援し学校は子どもを支援するという体制から、福祉と教育が連携し「家庭への支援」を行うという 体制へと転換していきたいとのことでした。各地で始まった学校内の居場所づくりの実践が広がるよう制度的な後押しが必要です。今後も校内カフェの取組みに注目していきます。