労働者派遣法改正案をめぐる議論から

 労働者派遣法改正案をめぐり与野党の協議が続いており、与党側は19日にも採決したい意向であることが伝えられています。改正案は、3年間という派遣労働の期限を事実上撤廃するもので、不安定な派遣労働を増やす懸念が指摘されており「正社員ゼロ法案」とも揶揄される法案です。当初野党は足並みを揃えこの法案に反対を表明、「同一労働同一賃金法案」も提出し対抗していたはず。ところが、審議拒否から一転、採決に応じる方針を表明した維新の党の動きはどうだろう。
 今国会で野党が共同提案した同一労働同一賃金法案の肝で「職務に応じた待遇の均等の実現」を謳った条文が、維新の修正案では「均等な待遇および均衡のとれた待遇の実現」とトーンダウン。その他、均等実現の措置の時期も1年以内 → 3年以内、「法制上の措置」→「法制上の措置を含む必要な措置」とさまざま骨抜きにされています。
(嶋崎量 弁護士(ブラック企業対策プロジェクト事務局長)が解りやすく解説されています。リンクを貼ります。)
これを「是々非々」あるいは、「政策で維新の独自カラーを」と言われてもピントこない…。一昨年、特定秘密保護法案をめぐって、修正協議の名の下に与党に取り込まれていった野党の姿は記憶に新しいところです。政府・与党に修正を迫ったと、協議の成果を強調してみても、その立ち位置は与党の補完勢力と言わざるを得ないものでした。

 おりしも、安全保障関連法案をめぐって、憲法審査会に参考人として出席した3人の憲法学者が揃って「法案は違憲」との見解を表明、さらに自民党元幹部からも批判の声があがるなど、風向きが変わり始めたのでは?と思われていたところでした。安全保障関連法案についても、自民党から維新の党の協力に期待する声が聞かれ始めました。

 残業ゼロ法案が成果主義賃金であるかのような読み替え、憲法解釈は行政府の裁量の範囲内である、あるいは、将来的には既成事実化し国民の支持を得られるといった発言に象徴されるような、政権の矛盾や欺瞞を質す議論の場こそ確保されるべきです。

 ローカルパーティは国の政治を直接手にする事はありませんが、社会運動と広く連帯し声をあげていきたいと思います。
諦めない、忖度しない。