「子ども・子育て新制度」に関する新たな基準を検証する
2015年4月、いよいよ「子ども・子育て支援新制度」がスタートします。県内自治体でも、新制度の実施主体として新たに認可することとなる施設の設備や運営に関する基準等を定める条例が制定されています。中には、たった3条のシンプルな条例を制定した自治体もあり「これでは何を定めたのかわからない。条例は誰のためにあるの?」といった意見も聞かれます。
ほとんどの条例が国の基準を当てはめたものですが、横浜市は、幼保連携型認定こども園の施設面積の一部について府省令の内容を「当分の間」緩和することを付則の中で数値を示して謳っています。
自治体の動き
条例の制定に先立ち、昨年はすべての市町村で子ども・子育て支援に関する市民ニーズ調査が実施されました。子ども・子育て会議での議論も重ね、さらに、基準の素案についてのパブリックコメントも実施されています。横浜市では、事業者説明会や、市民意見交換会なども開催され新制度への移行準備が進められてきました。プロジェクトでは、こうしたプロセスが反映された条例になっているのか、あらためて検証を行っています。
保育の必要性
県内では、待機児童問題を抱える自治体も多く、新制度の準備も待機児童対策に傾きがちです。新制度は、一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会をめざすものです。子どもが小さいうちは、子育てを楽しみたいという希望をかなえ、親の就労形態やその有無によらず、多様な生き方・働き方を支える保育・子育て支援サービスを用意することが必要です。
横浜市が昨年8月に実施したニーズ調査(p23~)では、現在就労をしていない母親の24,7%は「子育てや家事に専念したい」と回答しており、将来的な就労希望についても、子どもの年齢が3歳未満の時期に就労したいという希望は5,9%に留まっています。望む働き方は、パートタイム・アルバイトが28,5% とフルタイム希望6.8%の約4倍、利用したい施設の条件の第一位には家から近いこと
が上げられました。
県が行った「神奈川県保育士実態調査」(p28~)からは、保育士資格を有していながら現在保育所に勤務していないいわゆる「潜在保育士」が資格を生かして働くために重視する点は「勤務時間」とする意見が最も多く、6割を超えています。また、
望む勤務日数は週3日、望む勤務時間は1日5時間とする意見が最も多く、2月に開設された保育士・保育所支援センターにも、短時間就労や、自宅に近い保育所での就労を希望する声が寄せられています。
神奈川ネット子育て支援アクションチームプロジェクトでは、特に、短時間就労に対応する保育サービスに注目し、「保育の必要性」を認定する基準「就労下限時間」を各自治体がどのように設定したたかについてポイントを絞って調査をしています。
次号、情報紙ネットで調査結果をご報告させていただきます。ご期待ください!