ともに暮らせる社会をつくる「N0!寝たきりデー2014」
神奈川ネットも賛同団体となっている「N0!寝たきりデー2014」が開催されました。
第一部では、精神科医上野秀樹氏から認知症の人を支える医療の実践を伺いました。冒頭、まず、精神科をめぐる2つの2割についてお話がありました。一つは、世界の精神科病床85万床のうち2割にあたる35万床が日本にあるということ、もう一つは、日本の病床177万床のうち2割が精神科の病床であること。「障がい者が地域で暮らせる社会となっているか?」という問題提起です。
厚生労働省研究班は、認知症の人は462万人、認知症の予備軍は400万人というデータ(2013年6月)を公表しています。65歳以上の人の4人に1人が認知症かもしくはその予備軍ということになります。
認知症になると高齢化による身体機能低下(身体障害)、認知機能障害(知的障害)、さらには行動・心理症状(精神障害)と3障がいが出現する可能性があるといいます。上野先生からは、地域における認知症の事例として、困難事例であってもケアの対応や工夫で認知症の行動や心理症状が改善できるという事例を伺えました。また、そもそも認知症の人と普通の人の暮らしにくさは連続しており、多様な障がいを持つ人がいることを考えずに形成されている社会システム自体が障害を作り出しているという問題提起もありました。例えば、認知症の人が行きたいところに行けなくて道に迷っている状態は徘徊と言われますが、「普通の人」が道に迷ってにわかに目的地にたどり着けない事もある、認知症の人が騙されて大切な財産を奪われる事がありますが、時に「普通の人」も騙されてしまうというように。
第二部では、藤沢市で小規模多機能型居宅介護事業を展開している㈱あおいけあ代表の加藤忠相さんから、当事者を中心に据えたケアや地域にひらかれたケアにより高品質なサービスを提供するという理念と実践を伺いました。多世代参加型の新たな藤沢モデルが生まれつつあるようです。
さらに、高齢化率50%の新宿都営戸山ハイツにある「暮らしの保健室」の副室長の杉本みぎわさんからは、多彩な立場の医療・介護職の連携を進めながら地域の困りごとを受け止める活動について伺いました。これからの時代、病院以外の場所、生活する場に学校の保健室のようにいつでも開かれた場所があって相談支援できる仕組みはもっともっと必要になると思います。すでに全国各地に広がり始めているそうです。
いずれの実践からも、多様な地域福祉の実践者が集まり本人理解から始まる生きがいを満たすケアを重層的に展開していく必要性を確認できました。一人ひとりが障がいの問題について、身近な自分の問題として考えともに解決策をさぐることが、ともに暮らせる社会の実現に繋がるはずです。地域での実践と、仕組みづくりに生かしていきます。