実効性のある貧困対策計画を

 8月29日子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づき「子どもの貧困対策大綱」が閣議決定されました。大綱を受け都道府県には貧困対策計画をまとめる努力義務が課せられます。神奈川県は、貧困対策を総合的、横断的な計画を市町村と連携して策定していく方針を明らかにしています。
 
 国民生活基礎調査(厚労省)によると、2012年の子ども(17歳以下)の貧困率は16.3%で過去最悪の数値であったと報告されています。また、貧困世帯は、およそ200万世帯程度とみられうち140万世帯程度は母子世帯以外と計算されています。

 神奈川県においては、2012年度の県内公立小・中学校に在籍する児童・生徒672,971人中106,825人が経済的理由で就学困難な要保護、準要保護児童であり、就学援助率は15,64%です。経済的理由で支援を受けている子どもたちの生活状態や親の就労状況は様々であり重層的な課題を抱えています。子どもの貧困が、虐待・ネグレクト、不登校や社会的孤立・排除など子供たちの生活や成長に様々な影響を及ぼし世代間連鎖をもたらすとの指摘もあります。
 重大な虐待事例が頻発し、関係機関の対応が検証され支援体制の整備の必要性が叫ばれる昨今ですが、虐待の背景にある問題として貧困や貧困に起因する複合的困難にしっかりと向き合い支援を進める、出口からより入り口に近い支援へとシフトして行く必要があると思います。

 政府の大綱では教育、生活、親の就労、経済の4分野で支援策がまとめられていますが、財源の裏付けがないとの理由で、経済的な支援プログラムには踏み込めていません。一方で、生活保護世帯等で支援を必要とする家庭に育つ小・中学生等に対しての学習支援事業への取組む自治体もあり、また、NPO等による居場所づくり、就労支援・雇用創出などの実践も見られます。
 県として実効性のある貧困対策計画を策定するためにも、まず、各自治体における子どもの貧困の実態や社会資源を明らかにする基礎調査を実施し、その上で、関係部局、民間団体も参加する横断的な枠組みをつくり多様な伴走型支援の実現に向け取組むことが必要です。今後もしっかりと議論していきます。

 子どもの貧困率(*1)1
貧困率は可処分所得の真ん中の世帯を中央値とし、その中央値の半分(2012年は122万円)より所得が少ない世帯の割合をいいます。可処分所得は、1997年から低下し続けています。
※ 要保護児童生徒数 :生活保護法に規定する要保護者の数
※ 準要保護児童生徒数:要保護児童生徒に準ずるものとして,市町村教育委員会が それぞれの基準に基づき認定した者の数