ソウルスタディツアー報告「マウル共同体総合支援センター」市民社会の再構築に向けて

 ソウル革新パークにあるマウル共同体総合支援センターで、社団法人マウル代表のユ・チャンボク代表からお話を伺いました。マウル共同体総合支援センターは、住民主導のまちづくりを推進する中間組織の役割を期待されており、社団法人マウルが、ソウル市から委託を受け運営しています。

 センターが取り組んでいる「コミュニティ支援事業」は、年間200億ウォンのバスケット予算(包括予算制度)を持つパク・ウォンスン市長の肝いり事業で、昨年は1300のコミュニティ支援事業が実施されたそうです。
 随時公募制のしくみを導入しており、市民からは、多くの相談や事業提案が寄せられ、2012〜2013年で、54,623人の市民のアクセスがあったそうです。事業の審査は「住民参加審査」方式で実施されており、審査する場が交流の場となりまるでお祭りのような審査会になっているそうです。事業者の懇談会も開催されており、さまざまな参加者が繋がりネットワークが形成されていくプロセスも含めて、この事業が評価されています。今後は、各自治区と連携し自治区レベルのマウル・ネットワークを広げて行くとしています。

 パーク内にある社会的経済支援センターは、仕事や暮らしを考え、問題解決にあたる様々な活動の「青年ハブ」(プラットフォーム)としての役割を期待されています。カフェやオフィス、読書空間、イベントスペース、フリースペースなどの空間があり、多くの若者の姿も見られました。
ユ・チャンボク代表は、 数年先には、さらに革新的な実験がなされる場となっているだろうと話されました。

 韓国には、「のどが乾いているものが井戸をほる」という言葉があるそうです。韓国社会が抱える課題の克服に向けて、公共という資源を市民に戻して行くという理念のもと、市民社会の再構成のためのたくさんの実践が重ねられています。

(続く)