神奈川県議会議員定数について 条例改正を議会改革のあらたな出発点としたい

本日、県議会議員の定数を現行の107から2削減し105とする条例改正案が提案されました。私は、議会および議員の代表性についての考え方や、あらたに打ち出された常任委員会中心主義による総定数を算出する根拠、行政改革の評価と民主主義のコストとしての議会費についての考え方を確認し条例改正案に賛成しました。これまでの定数見直し議論において、主に人口ベースや行政改革の理論による定数削減の必要性も言われていました。しかし、このたびの議員定数等検討委員会の議論を通じ、議会改革の視点として、「議会改革と行政改革は次元の異なる性格の問題である」との見解をまとめられたことは評価すべきであり、賛成を表明した最大の理由でもあります。その結果、大幅な議員定数削減論もある中で2削減するという案に集約された経過は受け止めたいと思います。以下、質疑の詳細をご報告いたします。

議会および議員の代表性について
議会制度の自由度を高め、議会機能を充実強化させるという観点から2011年に地方自治法が改正され、議員定数の法定上限が撤廃されました。したがって、人口規模により議員定数を論じるその意義は薄れ、新たな議員定数の考え方、理論的根拠を提示することが求められていると考えます。
質疑では、まず、神奈川県という自治体にふさわしい議員定数を検討するにあたって、議会および議員の代表性について質しました。提案者からは、議会基本条例に謳われた二元代表制の一翼を担う議会の役割とともに、地域における様々な県民意見を集約する地域代表的性格も有しているとの答弁がありました。

常任委員会中心主義について
総定数の検討にあたっては、常任委員会中心主義を掲げ、総定数を算出する基礎として常任委員会数は現行の8委員会、委員数については13としたとされています。一方、「議員定数等検討委員会報告書」では、増加を続ける神奈川県の人口動態も考慮し「県民代表である議員数についても削減を前提に議論する理由はない」との考え方が示されています。しかし、最終的に県議会議員の定数を現行の107から2削減し105とする案がまとめられたことは、「削減を前提としない」とした方向性とは必ずしも一致せず、一見、わかりにくい結果でもあります。
従来の総定数と常任委員会数で決定されていた委員数とは異なる、最適人数として 「13人が妥当である」とした議論の経過については説明を求めました。
提案者からは、神奈川県のような広域自治体において、現行のあり方を基本として、8常任委員会、委員数については13人とすることが、多様な県民意見を適切に反映する適正規模と判断したこと、また、議会の機能充実に努めつつも可能な限り定数削減にも努めるという姿勢を示したとの答弁がありました。
今後も、人口動態を始めとした社会状況の変化や、それに伴う法制度の見直しなど情勢の変化が予想されます。 検討課題である指定都市の選挙区のあり方や投票価値平等の確保等に関する検討に際しても、8常任委員会を設置し委員数については13人とする考え方が議論の出発点となるものであり、普遍性が求められるものです。 様々な意見を集約し合意形成を図られた結果の結論であることも理解しますが、常任委員会中心主義に、「可能な限り定数削減に努める」という県議会の姿勢を重ね合わすことで、本来、県民に提示されるべき新たな議員定数の考え方や理論的根拠を見えづらくさせているのではないかと思います。 常任委員会中心主義については、今後引き続き議論を深めていく必要があります。

民主主義のコストとしての議会費に関わる考え方について
議員定数の検討の過程においては、人口10万人に1人を基準とし総定数を89とするなど、主に人口ベース、および、行政改革の理論による定数削減の考え方も示されています。また、過去にも、議員定数の見直しにあたり、「議会改革の取り組み効果が必ずしも県民の皆様に理解されるに至っていない、議員定数の削減をという県民の意思に対しては、議会として真摯に向き合わなければならない」といった認識が示されてきました。 議員定数検討等委員会報告書では、議会改革の視点として「議会の行政改革については今後も取組んでいくものとする」との報告に留まっていますが、行財政改革の理論による大幅な定数削減案が提案されてきた経過も踏まえれば、行政改革の取組みについての評価や民主主義のコストとしての議会費に対する考え方についても、県民に合理的な説明を行い県民の合意を得る必要もあると考えます。
これについては、これまでも県議会として、議員報酬、期末手当の削減などで1998年度以降、16億円余削減したことも報告され、県議会の果たすべき役割の重要性を考えれば、必要な経費について県民の理解を得ていく努力が重要であるとの答弁がありました。
議員定数の検討を通じ、議会改革の視点として、「議会改革と行政改革は次元の異なる性格の問題である」ことが確認されたことは、従来の私たちの主張とも重なるものであり、県議会の議会改革の方向性を大きく転換するものです。このたびの議論を議会改革の新たな出発点としたいと思います。
以上の質疑をもって、条例案に賛成しました。