「子どもセンターてんぽ」居場所を失った子どもたちを守る

あざみ野にあるコミュニティカフェ「スペースナナ」で、「地域でゆるやかに支えあう場をつくろう」という連続講座が開催されています。11日には、NPO法人子どもセンターてんぽの理事で、弁護士の東 玲子さんを講師に迎えた講座が開催されました。「子どもセンターてんぽ」の実践や「てんぽ」につながる子どもたちの姿を通して、望まれる支援や法制度の課題についてお話を伺いました。

児童福祉法の対象は18歳に満たない者とされ児童相談所の介入はできません。一方で、10代後半の若者のための保護施設は不足しています。「子どもセンターてんぽ」は、虐待や貧困などが理由で、安心して生活できる場所がない子どものためのシェルターです。2007年4月に開所して以来、昨年5月までに49人が利用していますが、うち25人が18歳です。生活スキルの支援、学校と連携した学びの支援、就職活動の支援を行う他、親との交渉も行います。退所後も求めに応じて相談にのっているそうです。てんぽは、居場所のない子どもの電話相談事業や、自立援助ホーム「みずきの家」も運営しています。

 そもそも、児童相談所の一時保護所は、様々な年齢児童の共同生活の場であり、思春期特有の課題を抱える高年齢児童の処遇が容易ではありません。高年齢児童が、小さいな子どもたちの世話をする役割を担うこともあり、心身を休めることができないったことも生じているそうです。
事件を起こしてしまった子どもが家に戻ることを親が拒否した場合などに、帰る場所がないという理由で少年院に送致されることもあるそうです。東さんは、虐待を受け家に戻すことができない少女について、早期改善の可能性が大きい少年を受け入れる少年院が満所のため、長期処遇の少年院に送致せざるを得なかったことや、その少年院の教育課程に合わせて生活せざるを得なかった少女の事例も振り返られ、「子どもセンターてんぽ」を立ち上げた経緯を話されました。
 
てんぽの設立にあたっては、東京のカリヨン子どもセンターの実践もモデルにされたそうです。こういった子どものシェルターは全国に9カ所と少しずつ広がっています
東さんは、制度の挟間におかれた10代後半の若者を支えるアフターケアの考え方も導入されるなど小さな制度改革は行われてきたものの、起きたことを支えるセーフティネットにあくせくしているのが実態、それを変えていくために政治の力が必要だと結ばれました。
講座には、自立援助ホームの職員、教員、NPO、ボランティアなど様々な立場で子どもや若者に寄り添う活動をされている方々も参加され、幅広い視点で意見を伺えました。
今後も現場の皆さんと繋がり、その実践を制度に繋げられるよう政策提案に取組みたいと思います。
スペースナナ