釧路市の自立支援の取組み〜受給者は地域の力〜

釧路市の生活福祉事務所に伺い、2004年から取組んできた自立支援プログラムについてお話を伺いました。
まず、母子世帯の自立支援に取組み、釧路公立大学(地域経済研究センター)や第三者評価機関、支援事業受託事業所、ハローワークと連携した支援を推進する体制が整えられました。第三者評価を設置することで、外に目を向け生活福祉事務所の職場文化に変化が生じたことや、包括支援センターとの連携の中で「ヘルパー同行訪問事業」が生まれた経緯、また、サービスのすき間を埋めるNPOの仕事おこしの実践など、現在の釧路市の取組みにつながる様々な発見があったことを伺いました。その後、全ての生活保護受給者に対象を広げ、現在は、社会的自立、日常的自立、就労をフラットな視点で捉え28のプログラムが展開されています。
 
その鍵を握るのが、多様な働き方=中間就労の場づくりです。生活保護の受給者の多くが孤立化した状況におかれており、社会参加のステップから就労体験へと丁寧に寄り添い型の支援を行う必要性とともに、人と向き合う姿勢として、「人は変われる」といった強い思いを伺いました。
ケースワーカーも個々の経験や技量のみによらず、生活者の感覚を持った生活支援員などとのチーム体制をつくり、「指導」から「支援」へと、視点を大きく変える取組みを進めてきたとのことです。
そうした取組みの成果として、道内主要8都市の扶助費単価の比較(2011年度)では、釧路市の一人当たりの単価は121,371円(月額)で、8都市の中で最も低くなっているとの分析も示されました。
 
現在、先の国会で、新たに制定された生活困窮者自立支援法にもとづくモデル事業も北海道と連携しながら進められています。自治体として無業職業紹介事業へ取組む準備も進められいるとのことです。こうした生活福祉部の取組みは、まちづくり、経済活性化に資する取組みであることが、庁内でもオーソライズされ、部局横断的な取組みとして推進されつつあるようです。
人が町に残るということ、地域に住み続けることの価値を捉え「受給者は地域の力」と宣言され、困難な社会問題に向かい合う姿勢に学ばせていただく一日となりました。