「メニュー表示の偽装問題」消費者にとって分かりやすく実効性のある制度を〜常任委員会報告〜

ホテル、百貨店、レストランなどにおけるメニュー表示の偽装が次々に明らかになり社会問題化しています。12月議会では、県民企業常任委員会において、「食品メニューの偽装表示について」として、県の取組みが報告されました。

食品表示関係法令のうち、県民局では、景品表示法に関わる事項について所管し、法に基づく権限として、『報告・立入検査等を行い、行政指導に当たる「注意」「指示」が可能』とされており、現在、県内4事業者に対する指導を行っているとのことです。委員会では、まず、景品表示法にもとづいて県が行った指導件数の推移について確認しましたが、2010年度が31件、2011年度が40件、2012年度が32件で、過去に罰則規定を適用した事例はゼロとのことでした。
県の指導の対象となる飲食店は約75000店舗、旅館等が2000軒にのぼり、これらを7人の人員で指導する体制となっており、行政指導も一定の範囲で行わざるを得ない状況であることも推察されます。

外食のメニュー表示は、食品表示の規制の適用外とされてきた経緯があり、一般消費者の利益の保護の観点から、景品表示法の規定により「消費者に誤解を与えたかどうか」を判断基準とし「優良誤認、有利誤認」といった行為を禁止することで対応がなされてきました。その他、食品衛生法・JAS法・健康増進法とそれぞれの目的に応じた食品表示基準が定められていますが、今年6月には、食品表示の一元化をめざした「食品表示法」が公布され、今後2年以内に施行されることになります。
食品表示法には多くの附帯意見も付けられており、加工食品の原料原産地表示のあり方、中食・外食のアレルギー表示、食品添加物のあり方などの基準の検討が求められ、現在、国において、食品表示適正化のためのガイドラインも検討されています。しかし、ガイドラインで表示対策を行っている景品表示では、※1「成形肉」をステーキと表示するなどの優良誤認事例も数多く露見しており、ガイドラインによる規制の実効性については、はなはだ疑問です。
不当表示の防止の向けて、より明確なルールと日常的な監視体制の構築、および厳罰化も検討すべきと考えます。

現在、景品表示法に基づく国の権限として、『報告・立入検査等を行い、行政指導に当たる「指導」、行政処分にあたる「措置命令」が可能』とされていますが、この行政処分権限「措置命令」を都道府県に移譲することも検討されています。
委員会では、あらためて、県として、業界団体への実効性ある指導、啓発を行うことはもとより、法律の不備に対する対策、また、体制強化のための予算措置など、他局とも連携し国に対して働きかけ行っていくことを求めました。

・景品表示法に関するQ&A(ガイドライン)より
Q53
牛の成形肉(※1)を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示してもよいでしょうか。 
※1・・・牛の生肉、脂身、横隔膜等に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして人工的に結着し、形状を整えたもの。成型肉、結着肉、圧着肉ともいわれる。
A.
 食肉関連事業者や食品の専門家は、牛の成形肉が「生鮮食品」の「肉類」には該当せず、「加工食品」の「食肉製品」に該当し、牛の生肉、脂身、横隔膜等に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして人工的に結着し、形状を整えたものであるということを十分理解できているかもしれませんが、これを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示した場合、この表示に接した一般消費者は、「生鮮食品」の「肉類」に該当する「一枚の牛肉の切り身」を焼いた料理と認識します。そもそも、牛の成形肉は「生鮮食品」の「肉類」に該当する牛の生肉の切り身ではありませんから、牛の成形肉を焼いた料理について、「ビーフステーキ」、「○○ステーキ」、「ステーキ」のように、「生鮮食品」の「肉類」に該当する一枚の生肉を焼いた料理と認識される表現を用いると、景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)に該当し、景品表示法上問題となります。