積極的に取組みたい「小規模保育運営支援事業」

市内小規模保育施設を視察

    先日開催された全国小規模保育協議会主催のシンポジウムに参加された都内の地方議員やNPOの皆さんが、26日、横浜市に視察にいらっしゃり、私も、皆さんのフィールドワークに参加させて頂きました。そこで、あらためて小規模保育事業についてレポートしたいと思います。
 小規模保育は、子ども・子育て支援新制度における地域型保育給付の対象となる事業で、0〜2歳児を対象とした6〜19人の小規模な保育で、待機児童解消加速化プランにも位置づけられています。2015年度(予定)からの新制度の施行を待たずに早期の受け皿確保を進めていくとされています。

 国の基準検討部会で認可基準もまとめられ、保育所分園近い類型、家庭的保育に近い類型、それらの中間的な類型の3つの認可基準が設けられました。すでに、東京都区内や横浜市では、新制度の小規模保育(B型)の先駆けとなる事業(法人委託型家庭的保育事業)が実施されており、東京都区内(江東区、品川区、中野区、台東区、豊島区)に27カ所、横浜市内に36カ所開設されています。

自治体職員や議員も多く参加した小規模保育全国協議会シンポジウム(11/2)

 小規模保育は、最も待機児の多い0~2歳の受け皿となり、多様な地域資源を活かし必要な地域にピンポイントで保育所を整備できることや、初期投資も押さえられるなど機児童対策としての効果が期待されます。一方で、新制度においては、保育士資格のある職員の配置基準が、従来の認可保育所よりも緩和され保育の質が低下するとの批判も聞かれます。
 先のシンポジウムでは、制度の概要のみならず、小規模な保育室の特徴として、クラスに捉われず子どもの発達段階にあった保育を提供できることや、少人数の保育士が1日を通じて子どもと関わるこができ、早い時期に信頼関係が築けるといったメリットも報告されました。家庭と連携した治療食の提供、発達の遅れ、障害に対する親の受容への援助、産前からの支援
、母乳育児支援など特別なケアが必要な子どもの受け入れ事例や、現場の創意工夫も伺いました。今回のフィールドワークでも、新たに小規模保育に従事した認可保育所での保育経験を持ったスタッフが「こんなゆったりした保育ができるんだと感じた」という気付きの言葉も印象的でした。

 小規模保育の現場は、地域の子育て経験をもった潜在保育士、幼稚園教諭、子育てを経験することによって、子どもに関わる仕事をしてみたい、という意欲のある人材を活かすことの出来る働き場で、潜在保育士にとっても地比較的復帰のハードルが低い現場だそうです。
 現在、保育者に対する研修は、市町村もしくは委託を受けた団体が実施していますが、新制度への移行を機に研修機会も拡充していくことが必要です。国の子ども・子育て会議でも、研修機会の拡充のために都道府県の支援を望む意見が出されています。神奈川には、すでに、法人委託型家庭的保育事業に取組み、研修も実施してる横浜の事例もあるのですから、県としてどういった支援ができるのか早い時期に具体策を検討すべきです。これまで、神奈川県は、小規模保育の基準が明確でない等との理由で、どちらかと言えば横浜市の法人委託型家庭的保育の取組みに対しても関心を寄せてきませんでした。私は、小規模保育運営支援事業は、新制度を先取りした取組みの中でも、利用者支援とともに重要な取組みであると捉えています。今後、議会でも取り上げていきます。

  法人委託型家庭的保育事業:家庭的保育を事業者に委託し、複数の保育者で小規模で家庭的な保育を実施するもの。法人のノウハウを活かして,マンションの一室、公務員宿舎、元内科医院など多様な物件を活用し事業が展開されています。

横浜市における法人委託型家庭的保育事業
•   2010年9月よりスタート 現在36箇所で実施
•  対象 生後57日から3歳未満
•  定員 6人~9人(10人)
•  マンションなどの一室をかりて実施
•  一人当たり3.3平米の保育室
•  スタッフ(家庭的保育者)は子ども3人に1人の配置
•  保育者→保育士資格+家庭的保育の基礎研修