県が取組む「生活困窮者自立促進支援モデル事業」予算委員会報告

神奈川県は、あらたに生活困窮者自立促進支援モデル事業に取組むとして、9月補正予算として提案されました。8日に開催された予算員会でこの事業について質疑を行いました。モデル事業は、相談支援、就労支援、家計相談支援、学習支援などの4つの事業によって構成されていますが、今回、県では、このうち自治体の必須事業とされている自立相談支援事業に取組むとしています。

先頃、生活保護世帯数等は215万8946人と過去最多となったことが報じられていましたが、神奈川県における生活保護世帯数等は155,337人、112,083世帯となり受給者数はこの10年間で約1,7倍に増加しています。とりわけ生活保護受給世帯のうち「その他の世帯」の世帯数の推移は、2003年の7,831人を100とすると今年6月には22,400人と286%の増加率で急増しています。この要因として非正規雇用者や年収200万円以下の世帯の増加など生活困窮リスクの高い層の増加が指摘されています。
また、経済的な問題のみならず、精神的、家庭、健康上などの複合的な問題を抱え生活の困窮に直面している人たちの存在があります。既存の施策で対応することが困難である方、制度や機関の狭間にある方に対し、関係機関、関係事業が連携し対応していくことが求められます。

モデル事業の実施にあたっては、地域若者サポートステーションとの連携もあげられていますが、 若者を就労に繋ぐことは容易ではなくハローワークのマッチング機能拡充だけでは解決できないことが明らかになっています。また、県の産業労働局が設置しハローワークと連携し運営されている「シニア・ジョブスタイル・かながわ」においても、就業支援、および生活支援相談を実施していますが、生活に困窮した求職者に対する就労支援については、個人情報保護の問題から福祉部門との連携が十分行えていないとのことでした。

県は、今後、専門性をもった団体に業務委託事業を行い事業を実施する予定としていますが、相談支援事業を通じて捉えた課題が行政にフィードバックされた際には、所管する生活援護課のみならず雇用対策や若者支援など横断的な体制で受け止めて知恵を出し合うなど、就労支援を含む総合的な支援が必要です。
県内では、横浜市、川崎市、相模原市以外の自治体においてモデル事業の実施の予定がないことから、県がまず取組むことで各市への助言、情報提供、その他援助を行い、県内全域で事業を実施するとしています。 2015年度と言われている制度の本格実施に備えて、地域の課題や社会資源の把握につながるよう積極的な取組みに期待します。