待機児童「ゼロ」が近づいているようですが…

2013年4月の待機児童解消を目指し緊急保育対策を進めてきた横浜市。その取組みに注目が集まる中、横浜の子育て支援の現状と今後の課題について、市の政策研究誌「調査季報」で取り上げられています。

ここでは、保育所整備という出口対策だけではなく、いかにニーズを捉え、応えていくのか、その重要性とともに、選択制の高い総合的施策への転換の必要性を確認できます。
しかし、そうは言っても緊急保育対策の柱は、認可保育所整備=量的拡大でした。その上で、2013年度の整備については、「質の確保」と「経済的合理性」をテー マとして取り組むとされていますので、むしろ、今後の取組みに横浜市の独自性が発揮されることを期待しています。保育施策とコインの裏表のような関係にある働き方の問題、とりわけ男性を含めた働き方の見直しや短時間勤務への対応などは、避けては通れない問題となってくると思います。
横浜市の待機児童解消に向けた取組みの中で注目された保育コンシェルジュについても、以下のように記述されており、その役割は「認可保育所以外の多様なサービスにマッチングする」ことであり、子育てと仕事の調和を望む子育て世代に寄り添うことであったことがわかります。

引用開始〜これまで保育を希望する保 護者には、預け先=認可保育 所というイメージの方が多く、 週2日だけ働けばいいという 保護者でも、認可保育所の入 所要件である週4日働き、認可保育所に申込むという事例 もあった。保育コンシェルジュ は、保護者の働き方や子ども の預け先について個々のニー ズを聞き出し、最適な保育サー ビスを紹介する。認可保育所 以外の多様なサービスにマッ チングするという作業をきめ 細かく行うことで、待機児童 数削減につなげたのである〜早いうちから多様な 預け方があることを知っても らい、保護者自身の働き方も含め、選択肢を広げてもらう のである。こうした地道な活 動が、将来の待機児童予備軍 を減らすことにつながってい るのである。〜 引用終わり
さて、保育コンシェルジュさんが紹介されていたサービス、例えば一時保育サービス等は充足されていたのでしょうか。これは、検証してほしい。もう一点、保育コンシェルジュという位置付けはなくても、子育て支援の現場で、あるいは認可外保育所や派遣保育の現場でと、いろんな場面で当事者に寄り添いコーディネートをされている人たちがいます。そこにも光が当てられるべきです。

国においては、幼児教育無償化に向けた議論も活発化しており、その実現に向けて0.8兆の税源確保策が検討されています。0,8兆円と言えば、それだけで、「社会保障と税の一体改革」によって捻出された子ども・子育て支援新制度の財源0,7兆円を超えてしまう規模となります。官房長官の「出生率に数値目標を掲げるべき」との意見も伝えられました。

子ども・子育て支援新制度は、「少子化対策」から「子 ども・子育て支援」への転換をはかるものです。こういった理念を踏まえ、県としても、市町村を重層的に支える立場として、すべての子どもと子育て家庭に目を向けた取組みを推進しなければ!という思いを強くしています。県版子ども・子育て会議の設置に向けても引き続き提案します。