災害廃棄物の受け入れについて

26日、県議会で「災害廃棄物である漁網の実効的処理の促進を求める意見書案」および「東日本大震災の津波で発生した漁網の処理の促進を求める決議案」が可決しました。
私は、地方自治法99条にもとづき提出される意見書案に反対しました。
また、県議会としての意思を表明する決議の必要はないと考え、議決には参加しませんでした。以下、少し長くなりますが、これまでの経緯を振り返り、ご説明いたします。

知事が県議会本会議において、東日本大震災により発生した震災がれきを県内で受け入れ被災地の復興に全面的に協力したいと表明されたのが昨年12月、その後、横浜、川崎、相模原の3政令市、横須賀市と検討を進めるものの、2月に大楠連合町内会からは、震災がれきの持ち込みについて反対の決議があげられました。県民との対話の広場も合意形成へのステップにはななり得ませんでした。これらの背景には、知事も指摘されたように、原発事故についての政府の情報開示姿勢やその内容に対しての根強い不信感とともに、焼却場を持たない県が、市町村による焼却を前提に、地域や県民に対して十分な説明がなされないまま率先してがれきの受け入れを表明し、着々と準備を進めようとしたプロセスをも受け入れがたいという状況が生じていたと思います。知事は、国に対して、災害廃棄物の広域処理を推進するため、新たな法律上の位置づけを求めていましたが、知事の期待する回答は得られませんでした。一般廃棄物処理が地方自治法の自治事務とされている以上、当然の結末と思われます。

 その後、7月26日に「皆様の理解をいただければ、岩手県から要望のある漁網を受け入れ、かながわ環境整備センターで直接埋め立てることとしたいと考えています」という新たな知事提案が示されました。しかし、これについても、今月22日、大楠連合町内会は、住民意向調査の結果にもとづき、受け入れ反対を表明しています。

被災地支援の必要性は誰もが認識しているところです。地域から受け入れ反対の民意が示された現時点においては、記者発表の席上の発言として伝えられた「別の形で力添えをしたいと考えている」という地域の思いに添って、知恵を絞っていくことこそが求められるのではないでしょうか。
被災地では災害廃棄物の処理にあたって交わされていたJVとの業務委託契約上の業務対象量が大幅に下方修正されました。また、災害廃棄物の復興予算の使途が問われている状況下で、災害廃棄物の広域処理について、環境・安全面だけでなく、経済性の観点からも妥当性が説明されなければならないと考えます。
 
「災害廃棄物である漁網の実効的処理の促進を求める意見書案」
「東日本大震災の津波で発生した漁網の処理の促進を求める決議案」