幅広い視点で捉えたい「保育を必要とする子ども」内閣府、厚労省、文科省と意見交換

子ども子育て関連3法が成立し、具体化に向けた準備が始まっています。 神奈川ネットのこれからの保育・子育て支援pjでは、子どもの育ちを社会全体で支えるために実効性のある制度改善、特に「地域型保育給付」制度と、「地域子育て支援事業」が、地域の特性に合わせた制度となるよう、また、子育て中の家庭にとって使いやすい制度となるよう、内閣府、厚労省、文科省と意見交換を行いました。 
 
小規模保育や居宅訪問型(派遣型)保育、一時預かり、放課後児童クラブなどの事業など、多機能支援に取り組んできたNPOやW.Coメンバーも参加し、現場の事例も踏まえた提案がなされ、来年度実施予定のニーズ調査や「子ども・子育て会議」のあり方などについても当事者や現場に寄り添う取組みとすべきとの提案が続きました。
 
新制度は、全ての子どもの育ちを社会全体で支えるという理念に基づくものですが、「保育」と「子育て支援」の壁を取り除くことは容易ではないことも事実です。新制度においてパート、アルバイトも含めた多様な働き方を支援する考え方が打ち出されたことは前進ですが、一時保育と一時預かりというように言葉を使い分けてきた、すなわち、親の就労の有無で事業が切り分けられてきた流れを転換するにはいたっていません。保育現場では、就労を理由とした一時保育のニーズの裏側にある「預けるために働く」というような傾向をも捉えています。また、NPOなどが独自事業で取り組む派遣型保育では、従来の保育事業からはみ出るような早朝、深夜保育、保護者の病気(就労の有無によらず)、子育てが困難な家庭への支援と市町村からも依頼があり制度の隙間を埋めるようなサービスを展開されてきました。地域型保育給付に位置づけられた小規模保育においても、地域子ども・子育て支援事業の一時預かり事業が実施できるよな制度設計を望みます。また、居宅訪問型保育事業が、実態として従来の「保育に欠ける」子どもの支援にとどまることのないよう、潜在的ニーズの把握に努めて欲しいところです。
 
さまざまな理由から養育困難となっている家庭への支援を含め幅広い視点で「保育を必要とする子ども」を捉えるためにも、来年度市町村が実施するニーズ調査は大変重要です。すでに、調査設計案も固まりつつありますが、意見交換では、あらためて多様な階層の意見を集約できるしくみや 各地域特性に合わせた調査が実施されるよう、国の指針を示すことを提案しました。  子ども・子育て支援法では、各自治体での子ども・子育て会議の設置を努力義務とし、来年度に向けた予算化がされています。各地での取組みを新制度に活かすためには、会議の構成は、安易に既存の児童福祉審議会や次世代育成支援推進会議を使うのではなく、新しいシステムには新しい構成メンバーによる検討の場が必要です。12月議会においても、自治体議会での提案に取り組みます。