小水力発電でエネルギーの地産地消を進める〜田中水力株式会社の取組みを伺いました

8日、小水力発電用の水車•発電機の専門メーカーとして注目される田中水力株式会社(座間市)に伺い、田中幸太社長、小林征四郎営業技術部長のお話を伺いました。

安定した自然エネルギー発電システムとして小水力発電への期待は高まりつつあります。田中水力が2007年に開発したリンクレスフランシス水車は、既設の配管の途中に簡便な水車を組込むもので、設置に必要なスペースやコストが縮減され、自治体への導入実績も増加しています。神奈川県企業庁も、電気事業として4カ所、水道事業で4カ所の小水力発電設備を設置してますが、芦沢配水池、葛原配水池には田中水力の横軸フランシス水車が導入されています。
浄水場では、水道の需要に合わせて発電を行うためには流量の調整も必要となるそうです。そういった管理業務をどのように行うかという課題や導入コストの問題がクリアできれば、自治体も浄水場•ポンプ場、下水処理場など土木工事や水利権が発生しない小水力発電に積極的に取り組めるのではないかと思います。

県は、9月から「かながわ農業用水小水力発電技術研究会 」の議論もスタートさせました。国土交通省は、来年度通常国会において河川法を改正し、農業用水路に発電所をつくる際に必要とされていた国や都道府県からの許可を不要とする規制緩和を行うなど事務手続きの簡素化により小水力発電の導入を後押しする方向性も示しており、 研究会の議論も加速することが期待されます。

昨日は、東京都に納品される水車の他、10月に木曽吉野村で実証実験を行ったピコ水力発電『エコ・ハイドロユニット』(最大出力10キロワット以下)の実物も見せて頂きました。エコ・ハイドロユニットは、水車本体•発電機•パワーコンディショナーを収納したコンパクトな発電装置で、農業用水や工業用水、高層ビルの上水道などにも設置が可能となるそうです。

ピコ水力発電『エコ・ハイドロユニット』

 

環境省によると中小水力発電の潜在能力は約1400万キロワットとされていますが、こうした小さな発電システムも含めれば、身近なエネルギーとして小水力発電の可能性は益々広がるのではないでしょうか。
今年4月から稼働している「小早月発電所」(おひさまエネルギーファンド株式会社•立山アルプス発電事業)にも、田中水力のターゴ水車(国産初)が設置されていますが、小早月発電所は、市民ファンドによる小水力発電所としても注目されます。
元気なものづくり企業、田中水力さんのお話を伺い、未利用エネルギーの有効活用や、電気エネルギーの地産•地消をより身近に感じることができました。今後も、地域の実践と自治体への政策提案に取り組んでいきます。

 

*葛原配水池発電所(最大出力:32kW)、芦沢配水池発電所(最大出力:66kW)
*直径30㎝のマイクロ水力発電で家庭用電力30軒分にあたる100kwの出力が可能