認可保育所の役割を考える

子育て支援の現場から

週末は、子育て支援NPOの監査や総会、シンポジウムで「子ども」一色でした。
私が監事をやっているNPO法人さくらんぼの基幹事業は横浜保育室ですが、重症心身障害児の受入れ、精神疾患による育児困難のための利用、DVや離婚、一人親家庭、経済的困難など、今年は、保育事業だけでなく、子育て支援拠点などにおいても困難ケースを抱えた年でした。地域の就労困難者や働くことで生活の質の向上につながる層に対して、子どもの受入れと保育園での親の就労をセットで提供する効果も報告されています。横浜保育室はいわゆる認可外保育施設。その横浜保育室で可能な限りのサポートを模索している実態を見ると、認可保育所の役割もあらためて問いたくなってしまいます。

20日には、NPO法人家庭的保育全国連絡協議会のシンポジウムが開催され、滋賀県草津市、札幌市、文京区、世田谷区、横浜市と多様な家庭的保育の実践を伺いました。5人の報告者のうち3人は認可保育所での保育の経験があり、2つの法人は認可保育所の運営もされていますが、皆さん、一人ひとりの子どもたちに寄り添いきめ細やかに対応できる小規模な家庭的の良さを報告されました。小規模保育・家庭的保育の経験は、保育所における乳児保育のあり方、集団の規模や保育の質を考えるきっかけになるかもしれません。

一方、利用者にも家庭的保育の良さは評価されているが、認可保育所への入所が決まり次第、転園する事例が多く、「待合室」のようになっているという指摘、会計、事務業務、労務事務の負担が大きいといった課題も出されました。これも、家庭的保育の広がりとともに健在化した問題です。待機児童対策として家庭的保育を推進する動きも広がっていますが、小規模保育の良さが理解され、利用が広がり、結果として待機時解消にもつながることが望ましいと思います。

先日、4月1日時点の横浜市の待機児童数大幅に減少した事が報道されましたが、今年もまた待機児童数の集計基準を変更していたようです。新基準により横浜市でも「保護者が主に自宅で求職活動中の213人分をカウントしていない」そう。この間、待機児童対策として、認可保育所の整備だけでなく、求職活動中の層への対応として、一時預かり事業等多様な施策を進めてきたけれど、この流れも変わるのかもしれません。
私は、あくまでも待機児童数は、保育、子育て支援施策の評価指標の一つに過ぎないと考えています。また、これからも、現場に学び、子どもや子育て世代の真のニーズに向き合っていきたいと思います。