問題視された独自基準は、食品衛生法をクリアした上でのさらなる食の安全への取組みであり、「食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図る」という法の目的に合致するものです。企業のミッションとして、あるいは、他社との差別化を図るという視点からも安全な食品を提供し消費者のニーズに応え信頼を獲得することは、消費者と企業、生産者にもメリットがあります。これまでも、食品添加物、残留農薬、遺伝子組み換え食品への対策などの独自の基準や検査を実施する取組みはありましたが何ら問題とされていません。
鹿野農林水産大臣も認めたように、法律によらない通知には強制力がありませんが、国民の権利に影響を及ぼすことを、通知をのみをもって発出すること自体が問題です。昨年7月には、総務省大臣官房長から各部局等の長に対して、法律によらず通知・通達のみをもって、国民の権利・義務に影響を及ぼすことは、それ自体が無効であり、記載しないように求めた「総務省における今後の通知・通達の取扱い」も公表されています。
政府の放射性物質への対応が後手後手に回る中、市民測定やスーパーや食品メーカー、生協などの独自の取り組みが広がってきました。今後も、できるだけ内部被ばくを避けるため、とりわけ、放射線感受性の高い子どもたちの食べ物についての選択が保障される取組みが求められます。
しかしながら、これ以上大気や水や大地への放射性物質汚染すれば自主基準そのものもが成り立ちません。放射性物質については、封じ込め・拡散させないという原則に立った対策を進める事、そして、脱原発をしっかりと宣言できる政府を選ぶことが私たちの責任であると考えます。