災害廃棄物は一般廃棄物として扱う事から、その処理は市町村の責任において行うこととされていますが、このたびの震災被害は、行方不明者の捜索、津波堆積物,塩害,放射能の問題も抱え、市町村の対応は困難を極めています。
宮城県内36市町村のうち、13市町村が県に処理を事務委任していますが、災害で行政機能がストップしている状況下で、まず、こういった市町村の方針決定や事務処理に時間を要し、さらに、県も廃棄物処理の事業委託にあたって入札手続きに時間を要します。気仙沼市の処理については未だ入札も行われていないとのことです。
瓦礫の処理のために莫大な処理費用が発生しますが、(1トン当3万円程度/宮城県域)自治体は閣議決定する補正予算を待つしかない状況でした。予算の手当がなければ廃棄物処理の実行計画も策定も進められない、あるいは、市町村、県、国、事業者と手続きを経て補助金が執行されるまで時間かかることから「決断できない」という課題が指摘されました。
こういった状況であれば、資金力のあるゼネコンが事業を受託する流れになりますが、県の事業を受託したゼネコンもごみ処理の専門性を持っているわけでもなく、コンサルによって処理計画が作られていきますが、コンサル探しも容易ではなさそうです。
一般廃棄物処理事業者としての許可を得なければ廃棄物にも触れられない、が、通常の手続きでは時間がかかりすぎる、行方不明者の捜索にともなって、瓦礫の一時仮置き場も移動を重ね、混合ごみになり処理費用も2、3倍になってしまった等々、津波ごみの処理の難しさや混乱を極めた状況が報告されました。また、手作業で進められる分別処理など、仕事はあっても、なかなか働き手が集まらないという現状もあるようです。
この間、廃棄物処理は焼却処分が主流となっており、地盤沈下したエリアなどでの瓦礫の埋立については、現地でも様々な意見があるようです。最終的には県が判断することであり、その前提となるのが復興計画ですが、何も決まっていない、始まっていない、なのになぜ広域処理なんだろう、そう指摘されました。
県は日常的に廃棄物処理の事務事業を行っていないのですから、災害が発生した際、市町村を支援することも簡単ではありません。あらためて、神奈川県の災害廃棄物対策の課題も明らかにされなければならないと考えます。宮城県の現状を伺い、各自治体で事務事業の見直しに向けた提案に取組む上で、多くの示唆をいただきました。着工から約3か月で焼却炉を完成させるなどいち早く瓦礫の処分に目処をつけた仙台の取組みにも多くの学ぶべき点があります。引き続き、調査に取組みます。