神奈川県の「津波浸水想定検討部会」から示された、県内沿岸部の新たな浸水予測図(素案)によると、最大クラスの被害を想定した場合、横浜港でも津波の高さが4.9メートルに達すると予測されています。「石油コンビナート等特別防災区域」に指定されている京浜臨海地区や根岸臨海地区においても、浸水被害が予測されます。私は、25日に開催された震災対策調査特別委員会では、あらためて神奈川県石油コンビナート等防災計画の見直しについて質疑を行いました。県は、石油コンビナート等防災計画の修正にあたって、津波浸水予測や石油コンビナートの津波や液状化被害などの状況を踏まえ、具体的な検討を行うとしてきました。すでに、8月には川崎市が、10月末から横浜市が、液状化現象とその影響および護岸係留施設の被害状況、事業所のリスクマネジメントなどについてそれぞれ独自にアンケート調査を行っています。しかし、両市の調査項目や調査対象は異なっておりデータとしての評価は難しいようです。県としても、今月14日から12月20日にかけて例年行っているコンビナート事業所への立入り調査を実施するとのことですが、もう少し、早い時期に、県が主体となって関係市と調整し調査を行うべきであったと思います。いずれにしても、早急に調査結果を分析することや、津波の被害想定とともに、あらためて、側方流動や液状化などの影響を予測する防災アセスメント調査を実施し今後の対策に生かす事が必要です。
現在、県内臨海部の石油タンク1224基(500kl以上)のうち80%のタンクが耐震基準に適合していますが、スロッシングの危険が指摘されている浮き屋根式タンクについては、耐震対策の法廷期限が平成29年度とされており、耐震化率は38.7%に留まっています。現在、国でも法廷期限の見直しが進んでいるとのことですが、県としても指導を行って行く必要があります。
県は、12月中に、関係機関、学識者による検討会を設置し、具体的な計画見直し作業に着手します。新たな計画素案に対してパブリックコメントも実施されます。皆さんのご意見、ご提案もお寄せください。
*横浜市の防災計画では
東海地震で発生する津波の高さを約1mと想定していましたが、東日本大震災を受け、8月には津波高さ想定を3mに見直し「津波からの避難に関するガイドライン」が公表されています。県が策定した「津波ハザードマップ作成の手引き」では、神奈川の沿岸15市町のうち横浜市、川崎市を除く13市町で津波ハザードマップを作成するとされていました。検討部会ではこの手引きの改定案も出され、今後は横浜市、川崎市もハザードマップを作成することとされています。