津波避難タワーを視察

沼津市の取り組み

神奈川県の「津波浸水想定検討部会」から、県内沿岸部の新たな浸水予測が示されました。今回の検討は、歴史をたどり、明応地震(1498年)や慶長地震(1605年)なども含めた計14地震を対象としており、慶長地震の津波到達高は藤沢で10.5m、鎌倉で14.4mとなっています。また、到達高が最大ではなくても、到達時間が5分程度といった津波についての対策の必要性にも言及しています。神奈川県では、津波避難タワーの設置に向けた検討も行っており、震災対策調査特別委員会では、17日、沼津市の津波避難タワーや急傾斜地避難階段など緊急一時避難に必要な施設を視察しました。沼津市では、駿河湾沖のマグニチュード8.0の地震を想定した災害対策を進めてきました。
西浦立保地区にある津波避難タワーは想定津波高より2m高く設計されており、全高さが7.95mで80人を収容できます。このタワーは隣接する保育所の子どもたちの避難を想定し設置されたもので、雨よけのシートや飲料水を保管するボックスが設置されていましたが、非常にシンプルな設計で建設費用は1980万円とのことでしでした。
津波避難タワーは市内に計3か所設置されていますが、付近に津波避難ビルがなく津波避難経路を使用して予想される津波の到達地点までの距離がある地区を対象に設置するとしています。設置方針や避難対象が明確にされており、また、設計によっては、維持管理にコストをかけない方策があることがわかりました。
先般実施した夜間避難訓練は生憎の雨天だったそうですが、だからこそ危険個所のチェックもできたとのこと。沿岸部のあちこちに海抜表示板が設置されていましたが、表示板(505箇所)をさらに見やすく改良することも検討されています。さらに、163の避難経路のカルテを作成しチェックを行うなど、津波避難訓練の経験をもとに課題を抽出する作業が始まっています。
東日本大震災を受け国や県で被害想定や災害対策の見直しが進められている中、組織率99〜100%という自主防災組織を中心に、まずはすぐに見直すべき点を洗い出し対策に取り組むという姿勢に多くのことを学びました。