京浜臨海部「再生可能エネルギー」の現場から

一般家庭約2,100軒分の年間使用電力量を発電
一般家庭約2,100軒分の年間使用電力量を発電
8月10日に運転が開始された浮島太陽光発電所(川崎区)を見学ました。約38,000枚の太陽電池モジュールが並ぶ浮島発電所の最大出力は7千キロワット、年間発電電力量は約740万kWh。発電所が建設された場所は、川崎市のごみの最終処分場の埋め立て地で、20年間は土地の浄化を続けなければならず、その間の土地の活用は限定的にならざるを得ません。その方策として、当時の福田ビジョンの後押しもあり、東京電力との共同事業が進められました。発電施設を建設・運営する東電に対し、川崎市は市有地11haを18年間無償で提供し、グリーン電力証書、固定資産税を受け取ることになります。横浜市にも今年3月末をもって埋立てを終了した最終処分場が有りますが、緑化事業や球技場としての活用だけではもったいないかもしれません。

続いて、横浜市の都市型風力発電ハマウィング(瑞穂埠頭)を見学しました。ハマウィングの建設工事費は約5億円で、財源はNEDOからの補助金2億円と市債「ハマ債風車」の3億円が充てられました。当初、年間予想発電量を約300万kWhとしていましたが、21年度の実績は約231万kWhで、一般家庭の年間消費電力の約500世帯分に相当する発電量にとどまっています。平成21年度収支状況は、ハマウイングの管理運営コスト4,941万円に対し、売電収入が5,437万円、電電力量1kWhあたりのコストは21円とのこと。風車を制御するために必要な電気以外は、すべて電力会社に売電していますが、現在、1kwhあたりの売却価格は5円30銭程度まで下がり、事業としては大変厳しい状況です。

エネルギー政策への取組みにあたっては、自治体が直接事業を展開するだけでなく、官民の連携モデルを模索することや、太陽光や風力といった不安定なエネルギーを調整できるスマートグリッドや蓄電技術の開発に向けた取組みをサポートするスキームが必要です。省エネ施策もまた重要です。

エネルギーに関心を寄せることで暮らし方も変化します。そのためには、消費地から遠く離れたところで作られ、いくつもの変電所を経て長い送電線で送られる電気よりも、地域で作られるエネルギーの活用を拡げていくことが必要です。