「ハード&ソフト」で進める津波対策 その2

東日本大震災における、津波の被害は従前の被害想定をはるかに超えるものでした。国の検証でも、これまでの地震・津波の想定と今回の災害の想定とが大きくかけ離れていたことへの「反省」が表明されています。また、あらためて、住民の避難行動がどうであったかを調査分析し、今後必要な対策を検討する必要性が記されています。この間、神奈川ネットの防災プロジェクトでは、情報伝達の改善や避難計画や避難所の環境整備、実践的なハザードマップの活用、防災訓練の充実などにむけて各自治体の取組みについて調査を行ってきました。
例えば、神奈川県が作成した津波浸水予測図を活用し各市町村が作成した「津波ハザードマップ」も、市町村ごとに提供されている情報が異なっており、中には、防災拠点や避難経路(避難時に目指す方向、目標とする道路)、危険箇所などはもちろんのこと、等高線や過去の災害記録なども記されたマップもありました。
神奈川の地域特性を考えると、地域住民だけでなく観光客、外国人などに対しても危険地区や避難経路、避難所の周知がされることも考慮されなければなりません。すでにJIS化されている津波に関する統一標識を用いてマップや看板を作成している自治体もあります。
震災後、自治体の防災メールへの登録も増加しており、鎌倉市では2月末の登録者数4,074件が7月現在19,863件に急増するといった状況も見られます。震災直後県内各地で行ったアンケートにも、防災無線の改善要望など情報の受伝達に関する意見が最も多く寄せられました。
市民の防災意識が高まる中、各自治体では、避難対策や地域の防災活動、情報提供体制の拡充など防災対策の見直しの議論が進んでいます。市民のニーズや各自治体の実践を共有するとともに、県内自治体が協調し防災対策に取り組むことが求めらています。おのずと県の役割も見えてきます。財源を含めた具体的な支援のスキームが提示できるのは、全国的な防災対策についても検討するとされた国の第3次補正予算の議論を待つ事になるのかも知れませんが、機を捉えた取組みが求められます。9月議会に向けて、これまでの調査を生かし引き続き地域からの提案に取り組みます。