2000年に介護保険がスタートした当時220万人だった介護認定者はすでに500万人に増加、サービス利用者も397万人となりました。利用者の70%は在宅サービスを利用しており、特別養護老人ホームへの入所申請者へのアンケートでは、必要な時に宿泊できるサービスや医療系サービスなどが充実すれば在宅生活が可能であると解答するなど、半数が在宅生活を希望しています。
しかし、家族が介護することを前提とした制度では独居、老老介護、昼間独居といいった状態の方たちは在宅で暮らし続けられません。2006年の介護保険法の改正により、在宅生活を支える訪問介護サービスに時間制限や同居家族がいる家庭への制限が加えられ、利用は伸びず、訪問介護事業所も減少傾向となっています。必要に迫られ自費負担で家事介護サービスなどを利用する事例も増加しています。
コスト面で比較すると、在宅サービスの利用者は一ヶ月当たり10万3千円、特別養護老人ホームの入居者は一ヶ月当たり27万6000円の費用がかかっているそうです。在宅サービスの給付を抑制するよりも、在宅介護のニーズと介護保険サービスのミスマッチを解消し、在宅生活を希望する人たちを支えるしくみを整えることでコスト削減を目指すという発想転換が必要です。