フォーラム「地域主権改革から市民自治体づくりへ」

市民がつくる政策調査会主催のフォーラムが開催されました。まず、原口一博前総務大臣の基調講演では、人が人を支える改革として新しい公共の理念やエネルギーのパラダイムシフトなどについて話されました。原口氏が語られた高い理念には共感しますが、今日は語られることなかった地域主権の議論において避けては通れない地方議会制度の見直しについては、地方議会にはさまざまな意見があります。

 フォーラム二部では、全国自治体議会で唯一「地方自治法の改正にあたっては、地方議会の意見も踏まえて慎重に行うよう求める」という意見書を採択した大和市議の河崎民子さんや、おでかけサービス杉並理事長の樋口蓉子さんらも参加しディスカッションがありました。
 義務づけ枠付けの見直しにより自治体間格差が広がるのではないかという指摘もありますが、移動サービス事業にも関わる立場から、河崎さんから、国以上のローカルルールを課している事例も紹介されました。例えば、車椅子仕様の自動車しか福祉車両と認めない大阪府では、車椅子を使わない移動困難者は福祉有償移動サービスの対象者となっていません。また、鹿児島県では、ドライバーのボランティアが交通違反で1点でも減点されると資格停止となるというルールを設けているため、移動サービスに参加するNPO活動が広がらないという状況が生まれています。

 パネリストのー人の廣瀬克也さんからは、利害調整は議会が行うべきであり、権利制限を行うような社会のルールは条例に定めるべきとの指摘がありました。現在、横浜市では、要綱により横浜市福祉有償移動サービス運営協議会を設置し、協議会が定めた運営指針に基づき協議を行っていますが、議会は全く関与していません。本来、地域で合意する移動サービスを提供するための道筋が条例に謳われているべきです。
廣瀬さんからは、「あって幸せと言われる議会であれ」というエールもありましたが、多元的な合議制の議会の特性を生かし、住民との関係をより近く強くつくり変えることこそが議会改革であるということを確認しました。