現時点で把握されている施設の問題としては、認可外保育所設置の届出の遅れがあったこと(認可外保育施設は、児童福祉法に基づき設置にあたって市へ届出を行う義務がある。)や、事故当時、国の定める「認可外保育施設指導監督基準」に反し、2名以上の配置をしていなかったことが明らかになっています。
通常、市の立入調査を受け、認可外保育施設指導監督基準を満たすことが確認できた施設については、証明書が交付されます。証明書の交付済み施設はホームページで確認できます。あらためて見てみると、証明書が交付されていない施設も結構あります。また、立ち入り調査は、年に一度の実施ですので、施設の開設時期によっては、開設からかなり時間が経過してから立入調査を受ける場合もあるようです。
横浜市は、認可外保育施設の関係を「認可外保育施設の運営費については、原則すべて利用者の負担となっていますが、 本市からは、調理従事者等保菌検査、施設賠償責任保険加入等にかかる経費のみ を助成しています。」と説明しています。これは、市として認可外保育施設の保育の質までに責任を持てないとも読み取れます。しかし、認可保育所がいっぱいで待機児童が溢れる中、緊急の必要性で、あるいは、就労の実績を作るために認可外保育施設に子どもを預ける事例は多くあります。また、市は、年間1000万円をかけて立入り調査をおこなっているのですから、その意味でも保育の質の向上に資する調査となることを望みます。
昨日は、横須賀の家庭保育福祉員(保育ママ)宅でも死亡事故があり、辛いニュ−スが続きました。家庭保育福祉員事業については、密室保育の弊害を危惧する声もある中で、どのように保育の質を担保し、高めていくのかが課題であると思います。
今年度、横浜市で始まったNPO委託型の家庭的保育事業(複数の保育ママによる事業)については、保育事業の経験がない事業者も参入でき、保育資格も必要とせず、なおかつ自主的なプログラムにより保育者研修を行うとするなど、一気に規制緩和が進んだという印象です。できれば、研修プログラムについては、個々の事業者に任せるのではなく、事業者連絡会などを持って意見集約を行い、市も共同でプロブラムを作っていくような取組みが必要ではないでしょうか。
NPO委託型の家庭的保育施設は、保育施設ではないとの位置づけで、設置の届出の必要はないということですが、やっていることは小規模保育。
おさらいすると、横浜市には①自宅で1人の保育ママが3人の子どもを保育、②3人の保育ママが一緒にお家を借りてそれぞれ3人づつ保育、③NPOに委託して3人の保育者で9人までの子どもを保育。という3通りの家庭保育福祉員事業があります。事業の実施方法のみならず、家庭保育福祉員の採用方法も研修内容も異なります。でも、できるだけ、同レベルの保育の質を担保していくことが求められます。余りに複雑な制度は子どもの最善の利益には繋がらないと思います。