発想転換「保育所待機児童解消プロジェクト」の報告

「量の提供」から「選択性の高い総合的対応」へ

昨年10月に立ち上げられた「保育所待機児童解消プロジェクト」から報告書が提出されました。報告には、待機児童解消に向けて、保育所整備等の直接的な対策だけではなく、子育て支援策全体の充実を図ることが必要であるとの認識が貫かれています。

私は、繰り返し、保育所の量的拡大を図っていくだけでなく、サービスの幅をひろげることが、結果として待機児童の解消につながるのであり、具体策として「一時保育」の拡充を提案してきました。なぜならば、保育所への「入所希望=就労希望」ではないからです。

育児の負担感や養育の困難さから就労してでも子どもを預けたいといったケースや、本来は一時保育で十分保育ニーズを満たすことができるのにサービス供給量の不足から保育所へ申し込まざるを得ないケース、あるいは、保育所が他の施設に比べ廉価で利用できるなどの理由から、様々な保育ニー ズが認可保育所に集中しています。保育所の入園要件「週4日・1日4時間」に合わせた仕事を探して、「認可保育所」に申し込むという保護者も大勢います。こういった現状がプロジェクトのヒアリング調査でも確認されており、「これまでの保育所整備を中心とした待機児童解消施策から脱却し、様々な保育資源を活用した選択性の高い総合的な子育て施策を展開する 」という方向性が示されたことを、私は歓迎したいと思います。

子ども率、待機児童数、ランク別待機児童数やその割合など、待機児童の実態は区によって特性が大きく異なります。私は、効果的に待機児童対策を進めるために、区を中心に取組む必要性も提案してきましたが、今後、区にプロジェクトチーム(緊急保育対策チーム)を設置し緊急保育対策推進区とすると、また、保育施策も含め子育て支援拠点が各区のコーディネート窓口になることが提案されています。予算議会でも言われた「保育と子育ての境目は無くなった」という路線がはっきりしてきました。繰り返し言ってきたことですが、「親が働いていてもいなくても」という視点で子育て支援に取り組むべきなのです。

今後の課題として、利用料の格差や保育の質の向上に向けた取組みについても触れられています。また、横浜保育室と幼稚園の機能の融合など、横浜らしさを活かした施策の展開の必要性も述べられています。これらは、すでに子育て支援現場からの問題提起を受け政策課題として議論してきた問題であり、「量の提供」から「選択性の高い総合的対応」へという方向が明確になった今こそ、一気に提案していきたいと思います。