事業の終了に伴い、市は、日本政策投資銀行から損失補償の履行を求められるとして、次年度予算に11億6千万円余が計上されています。しかし、市が事業団の債務について、政策投資銀行との間に締結した損失補償契約は、その条項を見る限り、債務保証との相違点が分かりにくい規定となっています。本来、損失補償は損失が生じて初めて補償するものですが、この契約では、返済期限から6か月を経過し、事業団が割賦金の支払いを1回分遅滞すれば損失補償請求権が発生することとなっています。
市が締結している契約は、実質的には、財政援助制限法が禁じている債務保証契約と変わらないとし、日本政策投資銀行に対する「損失補償」契約の履行の差止め等を求める住民訴訟も提起されています。政投銀行への損失補償については、訴訟中であり、裁判所の判断が出るまで待つという選択肢もあったのではないでしょうか。もしくは、保証契約の無効を主張し日本政策投資銀行と争うという選択は考えられなかったのでしょうか。この点について、市長は、損失保証については、議会の議決も得ているし、社会的信頼を損なう事のないよう履行する旨答弁されました。
また、質疑の中で、市が行なっている出資比率が25%未満の関係団体も含む各種団体への2010年度以降の損失補償の総額は6841億円、将来負担比率に算入されている横浜市の外郭団体の損失補償等にかかる一般会計等負担見込額は総額は3236億円ということも明らかになりました。
横浜市では、この間、原則、新たな損失補償は行なわないことを確認していました。しかし、24日に可決した補正予算では横浜国際平和会議場、新年度予算案においては、横浜新都市交通㈱と、立て続けに外郭団体の借入金に対し、新たな損失補償を設定するという提案がされています。原則新たな損失補償は行なわないとの方針を転換したことについては、横浜企業経営支援財団(IDEC)の融資事業の見直しに伴って再検討されたとのこと。
第三セクターの経営改革にむけ、現在、経営改革員会が設置され、来年度の早い時期には抜本的な改革プランが出されるものと思われます。その結論を待たず、巨額の市費を貸し付けたり、損失補償契約をおこなったり、出資をしたりするということは理解に苦しみます。自治法235条の趣旨にも反します。