「かながわ廃棄物処理事業団」ようやく清算へ

横浜市が、県、川崎とともに出資する財団法人かながわ廃棄物処理事業団について、三公共団体は、経営改善検討委員会の答申を受け、事業の継続は困難であり今年度限りで事業団の事業を終了し、民間事業者に譲渡することが適当と判断しました。事業団の収支状況が悪化をたどる一方であることが明らかである以上、事業終了という判断は、まずは、理にかなった選択です。

神奈川ネットは、2006年に県議会で、事業団の問題を取り上げて以来、県、川崎、横浜の各議会でも繰り返し問題提起してきました。
外体改革2008年2月には、県の包括外部監査により、かながわ廃棄物処理事業団の経営破たんの可能性が指摘されていました。2009年1月には、「経営改善計画」が策定され、市としてもその計画を承認していました。今年度の予算を審査した委員会でも、所管局長から、事業団の事業は計画通り進捗する旨答弁されています。しかし、1年も経たないうちに経営が破綻してしまったわけですから、事業団を指導監督する立場として、市の責任は大きいと思います。

これまでに横浜市が財団に対して支出した総額(*1)は30億5458万3千円。県、川崎もほぼ同額を事業団に支出しています。
25日の本会議質疑で、林市長は、破綻に至った経緯として132億円にものぼった初期投資の影響を挙げていらっしゃいましたが、
財団設立時の寄付行為は2億1千万円にしか過ぎず、借入金(*2)と負担金に依存する経営にならざるを得ませんでした。

事業団の清算に向けては、横浜市の損失を最小限にとどめるためにも、事業団に対し指導・監督を継続的に行ってほしいと思いますが、その一方で、市の職員が理事として事業団の経営執行の業務に従事してきたという経緯もあります。三公共団体と事業団のリスク配分が曖昧なまま、事業を継続してきたことが、今回のような結果を招いたのではないでしょうか。市長は、「理事長は職員ではない」(よって問題無い)という認識を示されましたが、これは詭弁。民法(53条)には、理事は、法人のすべての事務について法人を代表する、いわゆる代表権者として位置づけられています。

第三セクターの抜本的改革が求められている中、第三セクターの破綻処理、清算事業のプロセスがどうあれば良いのかといった問題については、今後十分に検討されるべきと思いますが、まず、このかながわ廃棄物処理事業団の清算が、一つのモデルとなると思います。だからこそ、かながわ廃棄物処理事業団が、どうしてこういうことになったのか、きちんと点検評価し、その評価とともに清算に向けた手続きについても公開し、議会や市民の合意を得るプロセスを用意すべきではないでしょうか。

*1:負担金16億1325万円、出えん金7千万円、補助金5億5950万円、貸付金8億1183万3千円
*2:日本政策投資銀行借入金77億2800万円(設立時)、三公共団体の貸金24億3550万円)