保育ママ制度 開かれた保育を提供するために

 昨年、児童福祉法が改正され、これまで、法的に不明確だった保育ママ=家庭保育事業が「保育に欠ける乳幼児を家庭的保育者の居宅などで保育する」事業として制度化され、待機児童の受け皿としても、期待が寄せられています。

 横浜市も、今年度、家庭保育事業を、横浜保育室の整備促進や一時預かり事業とともに、待機児童解消モデル事業に位置づけ、事業の拡充を目指しています。現在、市内には、約40人の保育ママ=家庭保育福祉員がおり、昨年は134人の児童の保育にあたっていますが、ここ数年、実績は伸びていません。待機児童の受け皿としては、まだまだ定員枠、家庭保育福祉員が不足しています。

 横浜市の家庭保育事業は、家庭保育福祉員の自宅で実施されていますが、福祉員個人に子どもを預けること、密室保育の弊害の心配などハードルがあることも指摘されてきました。しかし、家庭保育事業は、制度上、保育者の居宅に限らず、その他の場所でも実施できるとされています。例えば、名古屋市では、昨年から、「保育所直営型家庭的保育室」として、民間保育所が近隣のアパートの一室などで、保育所の保育士(または看護師)が「家庭保育者」として保育を行なうという「保育所実施型」を導入し、一気に定員を拡充しています。
 家庭保育事業の実施にあたっては、保育所との連携が義務づけられていますし、保育所そのものが、運営を行なうとなれば、よりスムーズですし、個人が提供する保育よりも、より安定的な保育が期待できます。利用者にとっても、安心感もあるのではないでしょうか。
 家庭保育福祉員の資格についても、新たに実施基準とガイドラインが作られ、保育士や看護師でなくても、子育て経験者などが一定の研修を受講した場合は、保育ママとして国の補助が受けられることなりました。
 今後、家庭保育事業については、利用しやすい制度となるよう、また、保育の質にも留意しながら、できるだけ開かれた保育を提供できるように、見直しを行う必要があります。