フォーラム「移動サービスと障害児・者の制度への問題提起」

 移動サービスと障害児・者の制度をテーマにフォーラムが開催され、NPOや当事者からの問題提起がありました。特に、制度の谷間にある通学支援については、どの事業者も課題として捉えています。
 日々、地域で移動サービスを提供している「かながわ移動サービスネットワーク」の清水弘子理事長からは、多くの事例をもとに、通学支援にも福祉タクシー券や車両を使ったサービスが必要であることが話されました。

 また、家事介護サービスを提供している「港南たすけあい心」の板倉和子さんからも、支援費制度から障害者自立支援法への移行など、制度改正の度に、利用者も事業者も手続き説明に追われる実態、また、外出介助が、「日常介護(ガイドヘルパーの資格不要)」と「移動介護」(ガイドヘルパーの資格が必要)に細分化されているといった現場で感じられる制度の矛盾も報告され、柔軟な制度運用を求める提案がありました。

 障害児居場所づくり事業に取り組むワーカーズコレクティブLa casaの橋本富美子さんからは、過大規模化した養護学校の送迎バスが満席のため、転校生は保護者の送迎が条件となっていることや、自立登校を求められる高校生でも、保護者が送迎を行なっている実態が報告されました。さらに、送迎バスを利用していても、バスポイントが少なく、自宅から遠い場所まで毎日送迎を行なわなければならない、バスポイントの迎えに遅れると子どもは学校に返されるため、常に10〜20分前にバスポイントで子どもの到着を待っている保護者の実情も伝えられました。

 地域の学校に通えるサポートがあれば、養護学校の過大規模化も解消され、子どもにとっても保護者にとっても負担が軽減されるし、特別支援校(養護学校)のコストも縮減されます。何よりも、地域で学ぶことは地域で暮らし・支え合うネットワークを拡げることにつながります。

 横浜市では、昨年、在宅障害者手当が廃止された際、移動支援事業の再構築の必要性が確認され、現在プロジェクトで議論が進んでいますが、現場や当事者の声が反映されるよう、今後も提案を続けていくことを確認しました。