「Yes we can」64回目の「原爆の日」

64回目の「原爆の日」を迎えた広島。過去最多の59カ国の大使が参加した平和祈念式の模様が放映されていました。秋葉広島市長による平和宣言は、4月のオバマ大統領のプラハ演説を受け、核廃絶を望む声を「世界の多数派」=オバマジョリティーとし、連携していくことを訴え、「Yes we can」と結ばれました。

平和式典にも出席した国連総会のデスコト議長は、率直に許しを請うとともに、「被爆国である日本は保有国に大胆な軍縮を働き掛ける権威がある」と期待をこめたメッセージを発しています。しかし、日本はアメリカの核の傘の下から核兵器廃絶を叫ぶという自己矛盾を抱え、さらに、北朝鮮の核問題により東アジアに新たな緊張も生まれています。

一方、国家レベルだけではなく、それぞれの立場で出来ることを考え行動する私発のメッセージに触れる機会も増えています。デザイナーの三宅一生さんが、被爆体験を公にし、オバマ大統領に広島訪問を呼びかけたことが伝えられていましたが、ここ数日の報道で、オバマ大統領に、被爆地から核廃絶への決意を発信してもらう事を目指して、広島の中高生が運動していることも知りました。彼らの「私たちが求めるのは謝罪ではなく、核廃絶。オバマさんも身構えずに耳を傾けてくれるのでは」との発言に次世代の可能性を感じます。こども代表・平和への誓いでも、私たちのできることとして、世界の歴史を学ぶことや人権や文化を尊重し小さな一歩を刻んでいきたいとの思いが述べられていました。

オバマ大統領に対して、非現実的な理想論との批判や、謝罪などへの踏み込みについて懐疑的な意見も聞かれますが、「Yes we can」=私たちにはできるというメッセージは、確実に新たな潮流をつくり出していることを感じます。